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農委会、新章へ 農業委員会法改正から4年

 改正農業委員会法の施行から4年目を迎えた。農業委員会は昨年10月に新体制移行が完了し、次はいよいよ第2ステージ。求められるのは、これまで以上に地域に密着した活動だ。農地中間管理事業の見直しに伴い、農地利用の最適化業務は「農地所有者の意向把握」と「集落での話し合い」に明確化・重点化される。人・農地プランの作成への積極的関与も法令で位置づけられるなど、農業委員会への期待は大きい。地域に根ざす存在として、その真価が問われている。

 これからの農業委員会活動の鍵を握るのが、地域の農地利用の将来図となる人・農地プラン。長野県佐久市では農業委員や農地利用最適化推進委員が旗を振り、市農政課やJAともスクラムを組みながらプランを軸とした集積・集約化を実践している。
 市内でも先陣を切るのが大沢地区で、2016年度にプランが始動。同市農業委員会の市川覚会長(60)がその作成をリードし、市農政課やJA、区長会と協議を重ねた。2021年度までに地区内の平野部の農地の25%(15ヘクタール)を農地中間管理機構経由で担い手に貸し付ける計画で、これまで14ヘクタールを集積してきた。
 地域農地の現状把握がプラン作成の第一歩だ。市川会長は「周辺の状況に詳しい大規模な担い手から聞き込みを始めるのが有効」と秘けつを語る。農業者からの信頼が厚いJAとまめに情報を共有する重要性も指摘する。大沢地区ではこうして得た耕作状況の情報を地図に落とし込んで地域協議に活用し、担い手が借りている農地の近くから集積していく方針を固めていった。
 「一度農地を貸したら返ってこないのではないか」。地権者の中ではこうした不安は根強く、中間管理事業への誤解も多い。市川会長は「万が一受け皿の担い手が経営できなくなっても、機構なら円滑に次につなぐことができる」など、公的機関が間に入るメリットの説明を心がけたという。

 大沢地区の取り組みは他地区にも波及した。桜井地区では推進委員の臼田節雄さん(74)が農業委員や地区の区長4人と連携し、1年近くかけて2017年度末にプランをまとめ上げた。現在は対象の140筆のうち68筆(15ヘクタール)を集積している。
 プラン作成に当たり、まずは2017年4月に農地の所有や利用の状況を図面化。担い手など40人近くが集まる会議も7〜8回重ねて合意を形成していった。地区内の利用権設定を中間管理事業による集積に切り替えていくため、会議では両者の違いなどを丁寧に説明。臼田さんは次世代の担い手が作業しやすいよう、農地の集約化に向けた土台作りの必要性を訴えて地権者を説得した。
 桜井地区では夏までに24ヘクタールの集積を目指し、区長らと協力した戸別訪問を日常的に続けて理解を醸成している。臼田さんは「農地をまとめるには何度も足を運んで地域住民の信頼を得るしかない」と話す。
 市農政課でも、機構の手続きに必要な書類作成の支援を通し、プランに基づく集積を後押しする。地番などの項目をあらかじめ同課で記入することで、地権者は押印するだけで済む体制を整えた。同課では今後も、直接地域に入り込める農業委員会やJAとの横のつながりを強めていきたい考えだ。

写真説明=プラン作成の協議では地区の農地図を活用

 [2019-4-5]