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【列島最前線】逆境バネに自然卵養鶏 福島・相馬市 菊地将兵さん

 福島県相馬市の菊地将兵さん(33)は、東日本大震災直後に帰郷して、地元で新規就農。ブロッコリー10アールの栽培からスタートしたが、長引く風評により苦戦を強いられる。5年前から自然卵養鶏に取り組みはじめ、「相馬ミルキーエッグ」と名付けて販売。2017年第2回ふくしま産業賞金賞、今年2月ふくしまベストデザインコンテストブロンズ賞を受賞している。

 菊地さんは8年前、25歳で就農。相馬市では東日本大震災直後の混乱が続いていて、新規就農者は他にいなかった。
 母子家庭に生まれ、祖父母の家で育ち、高校を中退。居場所のなかった時期もある。その後東京で万引Gメンやホームレス支援を経験。岩手の農家が大量の米を差し入れてくれた時、「農家になれば、多くの人を助けられる」と確信した。
 大小さまざまな農家で研修を受け、福島県以外での就農を勧める声もあったが、「楽な方を選んだら一生後悔する」と帰郷。1年後、研修先で知り合った陽子さん(34)と結婚し、2児に恵まれた。
 地元の農家を手伝いながら、ブロッコリーなどを栽培。直売所や地元のスーパーで販売したが、苦戦を強いられた。
 「野菜は同じ値段でも他県産が売れていく。それならここにしかない特別なものを作ろう!」
 5年前、ハウスを改修して鶏小屋を作り、生後2日の「岡崎おうはん」のヒナを導入。平飼い養鶏を始めた。野菜残さ、相馬産の米、魚のアラを煮てブレンドした自家製の餌で飼育している。
 800羽を飼育し、「相馬ミルキーエッグ」と名付け、10個830円の強気な価格で販売。地域循環型の飼育法と絵本のようなパッケージが人気だ。売り上げから30円を母子・父子家庭の支援に充てるなど、その姿勢に共感した県外の消費者から続々と注文が舞い込んでいる。
 自宅を改装して農家民宿もスタート。ボランティアや研修生が多数出入りし、引きこもりの若者を受け入れることもある。
 震災から8年。来年から米の栽培にも着手する。被災地が背負った逆境をバネに、相馬で新たな農業のスタイルと可能性を生み出していく。

写真説明=震災直後に相馬市で新規就農。5年前に平飼いで養鶏をはじめた菊地将兵さん

 [2019-4-12]