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働き方改革と家族経営協定 ワーク・ライフ・バランスの実現へ

 少子高齢化とともに労働力の減少が急速に進む中にあって、政府は長時間労働の是正や柔軟な働き方などの「働き方改革」の実践を進めようとしている。
 農業分野においても、経営の法人化の進展とともに企業的労務管理の導入が進み、休日の取得促進や長時間労働の抑制、ICTの導入など、それぞれの経営状況に応じた実践事例も増えてきている。
 だが、農業経営体の約97%が家族経営(2015年農林業センサス)である。家族の構成員を中心に経営が営まれてきた農業においては、女性従事者が中心となって家事や育児を担ってきた。経営主の配偶者、後継者とその配偶者の経営参画を進め、経営発展と円滑な経営継承を図る上でも、家事・育児と農作業の両立(ワーク・ライフ・バランス)が欠かせないことを経営者には認識してほしい。
 農業におけるワーク・ライフ・バランスの実現には、「家族経営協定」が有効な手段となる。家族一人一人が対等な立場で話し合い、経営方針や役割、就業条件などを取り決めることで、経営発展の方向を共有し、就業意欲の向上も期待できる。法人化後も家庭内部の役割分担や経営継承などを取り決めるものとして有効である。
 農業は作物や畜産動物などの生物を相手にし、天候や作業の繁閑などによって長時間労働を余儀なくされ、休日も計画的に取得しづらい産業的特性を有する。だからといって、それを言い訳にして働き方改革の実践やワーク・ライフ・バランスの実現に手をこまねいていてはいけない。
 高齢化とともに農業従事者が減少していくのは必至だ。次代を担う若い世代の従事者を確保するためにも、賃金水準の向上や福利厚生の整備を前提条件として、他産業と遜色ない魅力ある働きがいのある就業環境の実現に向けて、経営者自らの意識改革に期待したい。

 [2019-4-19]