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鳥獣害対策

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【ストップ鳥獣害】(170) 2018年度鳥獣被害対策優良活動表彰(4)農村振興局長賞 新潟・新発田市 上三光農村環境保全・清流の会

 新潟県新発田市川東地区の上三光集落では、集落内外の住民にとって魅力的な地域を目指し、農地などの環境整備に力を注ぐ。その結果、以前は住宅近くまで出没していたサルが寄りつきにくくなり、被害の抑制に成功した。
 「地域への無関心」が同集落の最大の課題だった。兼業農家や非農家の増加に伴い農地に対する意識が薄れ、農地や山林が徐々に荒廃。それが獣害を助長し、荒廃に拍車をかける悪循環に陥っていた。
 そこで、集落の課題解消のために2012年に発足した住民団体「上三光農村環境保全・清流の会」が対策に乗り出した。同会代表の小柳繁さん(67)は「獣害対策の根底には、どうしたらいい地域にできるかという視点が不可欠」と力説する。
 まず着手したのが、地理情報システム(GIS)を使った集落の現状把握だ。建設会社で操作経験がある住民が入力を担い、農地所有者や耕作者、荒廃農地、電気柵の場所などを1枚の地図で共有。小柳さんは「現状の見える化によって住民全体に危機感が浸透し、対策に向けた合意形成もしやすくなった」と話す。
 2016年には専門家や市の協力の下、住民総出の集落環境診断を実施。荒廃農地や放置果樹、電気柵の不備などを点検し、問題点を洗い出した。
 これらを足がかりに自治会でも予算を確保し、本格的な対策が始まった。約50人の住民が電気柵の維持管理隊を結成して計画的に見回る他、荒れた山林は伐採して緩衝帯を設け、獣害に強い集落環境整備を進めている。荒廃農地も所有者の同意を得て同会が共同管理し、計2.5ヘクタールを解消。現在は任意組織を作り、ソバを栽培している。
 こうした対策と一体的に進めるのが、田植えや稲刈り、放置果樹を活用した柿酢づくりなど、地域資源を生かした体験交流事業だ。農作業体験には都市部から年間200人以上が訪れる。地域外の人々を受け入れることで集落をきれいに維持する意識が醸成され、結果的に獣害の抑制に結びついているという。

写真=集落環境診断には多くの住民が参加し、問題意識を共有した

 [2019-4-26]