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にぎわいを見せる現代版の「楽市」

 長野県伊那市にある大繁盛の産直市場を訪ねた。「産直市場グリーンファーム」(小林史麿会長)である。「農協の共販に乗らない物を売ってほしい」「地場の物を買いたい」。生産者、消費者双方の願いから15年前に生まれた▼1日平均の買い物客は1500人。年間売り上げは10億円、その大半は仕入れ原価を除いた20%の販売手数料である。従業員は50人。出荷農家は1700人にのぼる▼大型スーパーの関係者も視察に来るが、首をかしげて帰っていく。パッとした店構えでもないし、店内に入っても暗くて狭い。明るくて広いスーパーとは違う。客同士のおしゃべりで賑(にぎ)やかだ。野菜などを持ち込む農家は長靴のまま気安く店内に入れるし、農家自身も買う▼「新鮮」「安い」は他の直売所と共通だが、小林さんが大事にしているのは「楽しい」だ。「買い物をして喜びを感じ、お客さんに『ありがとう』という気持ちになってもらう」。そのため面白さを演出し工夫もする。落ち葉を菓子折りに入れて売る。蜂(はち)の子や手作り箒(ほうき)、骨董(こっとう)品など多種多様な物が並ぶ▼会話ゼロのスーパーマーケットにはない人の触れ合いと交流、数多くの地場産品がある。現代版の「楽市」=自由市場に大繁盛の秘密があるようだ。

 [2009-12-4]