カテゴリータイトル

大地バックナンバー

すべての記事を読む

大地

 ▼富山県南砺(なんと)市の福光地区(旧福光町)を訪ねた▼旧福光町は、画家・棟方志功が疎開し、6年8か月を暮らした地である。記念館「愛染苑」があり、その間の作品を中心に展示している。記念館脇に1946〜51年の住居(鯉雨画齋)がある▼青森県出身の志功が、なぜ富山県にと思う。聞けば、民芸運動のつながりだという。名を成すまで帰らないと誓った志功は、故郷に帰れず、民芸運動の知己を頼った。志功を7年近くも受け入れたその地の豊かさ、今も富山コシヒカリで知られる砺波地方の生産力の高さを感じる▼棟方志功は、奔放の人である。旧居の板戸には鯉(こい)と鯰(なまず)の絵が躍っている。厠(かわや)の壁からは菩薩の絵が笑いかけてくる。厠の天井には、志功特有のふくよかな天女が描かれている▼著作権をめぐる事件が話題になっているが、志功は魚屋で魚を買うたび代金のかわりに絵を描いて渡したという。志功が東京に居を移すと、魚屋に志功の絵が大量に残った。もちろん志功の絵であることを示す落款は捺されていない。魚屋は東京まで訪ねたというが結末は定かでない。

 [2008-11-14]