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大地

 ▼東京都世田谷区の大塚信美さん(60)を訪ねた。江戸時代から農業を続ける大塚家の10代目だ。信美さんは今、この地の特産だった「大蔵大根」の復活に取り組んでいる。主流の青首大根ではなく、白首でずんぐりと太い。ちょうど今が旬。「せたがやそだち」のブランド野菜として好評だ▼60アールの畑で約30品目の野菜を生産。大自然の恵みを受け「鮮度、うま味、栄養100%のおいしい野菜」を作るため、露地生産にこだわる。化学肥料はほとんど使わず、近くの馬事公苑から出る馬ふんと敷きワラを肥料にする▼「千手をかけることが農業人の役目」「人に喜ばれる野菜を作る」「農業は不滅」と話す信美さんの言葉には、家訓とも言える重みがある。農地を資産として見たり、お金を優先した風潮にも異を唱える。農業は「民族の文化と伝統を伝えている」ときっぱり▼大塚家では元旦、蔵開き、十五夜、酉(とり)の市など、農家の伝統行事と行事食は欠かさない。地域に伝わるおはやしの練習も自宅で行う▼11代目の長男(30)も農業を継ぎ、最近結婚した。信美さんの80歳代半ばの両親も元気に作業を手伝う。東京のど真ん中にも、家族の農と暮らしの伝統が息づく。

 [2008-11-28]