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東日本大震災

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「農業継続の思い、実現へ」――東日本大震災から1年、被災地では…

 農業を続けたい――東日本大震災から1年を迎える被災地で、こうした願いを実現しようとする動きが始まっている。農地1万5千ヘクタール(11%)が冠水・流失した宮城県では、農地を復旧した上、約4割を公社機能の活用で担い手へ利用集積する。また、農地全体の3割超が被災し、放射能災害も加わった福島県南相馬市では、担い手が中心となって農業復興会社の設立を模索する。「規模拡大」「大区画化」がキーワードだが、財界やシンクタンクがかねての持論を現地に当てはめようとするのとは違う重みがある。
 「離農する人たちの農地を、残る担い手にどう集積するかが課題」――。宮城県亘理町荒浜地区で水田58ヘクタールを経営する齋藤勇紀さん(60、農業委員)はこう話す。早めに避難し、一命を取りとめた齋藤さんには「今後も地域の水田を守っていきたい」との思いが強い。亘理町は農地3450ヘクタールのうち8割が津波被害を受けた。荒浜地区の水田300ヘクタールには、人の捜索で自衛隊車両などが入ったため、除塩だけでは復旧せず、うち120ヘクタールを1ヘクタール区画圃場に整備する計画もある。
 福島県南相馬市は、沿岸部の水田2642ヘクタール(32.4%)が津波被害を受けた。市の南部約4分の1は事故原発の警戒区域(20キロ圏内)に含まれ、今も手つかずの状態だ。今年度は稲の作付けも市全域で見送られた。そうした中、昨年7月、沿岸部の復興と生活再建を目指し「複合型大規模農場経営研究会」(会長・渡辺一成南相馬土地改良区理事長)が発足。市、農業団体、大規模農家、協力企業から出資を得て、(株)南相馬農業復興公社(仮称、資本金5千万円)を来年度にも設立し、大規模農業経営の実現と地域活性化を図る。市も「前向きに検討中」(発田栄一経済部次長)だ。

 [2012-3-9]