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耕作放棄地対策

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連載 耕作放棄地解消活動優良事例〈1〉

農村振興局長賞 合同会社福相農園 福島県飯舘村
建設業から新規参入
 福島県飯舘(いいたて)村の合同会社・福相(ふくそう)農園(渡邊春治代表取締役)は、2010年4月、同村小宮山地区で建設業を営む(有)福相建設が設立した農業法人。本業の建設業が景気低迷により工事受注が減少する中で、「従業員の雇用だけは守りたい」との思いから、渡邊さんが農業新規参入を決断。参入にあたっては、地域農業の活性化を図り「必ず収益を出す」という強い決意で臨んだ。
 農園の前身は06年に地元建設業の有志7人で設立した「までい企業組合」。有志の1人が所有していた60アールの耕地で1年2作が可能なブロッコリー栽培から始まった。当時は社員全員が農業未経験。農業機械も所有しておらず課題は多かったが、近隣の農家から栽培方法などを教えてもらいながら営農を始めた。
 その後、地元の小宮山地区に6ヘクタールの耕作放棄地を借り受け自主再生。さらに10年までに計13ヘクタールの耕作放棄地を解消して規模拡大を進めた。
 08年には渡邊さんが認定農業者(個人)となり、本格的な農業経営へとまい進。10年に合同会社・福相農園を設立したのをきっかけに、同年10月に同社も認定農業者となった。また国と県が進めている「耕作放棄地再生モデル事業」を活用して4.37ヘクタールの耕作放棄地を再生。その後も地域農業の活性化と規模拡大を目指し、同村産業振興課の協力のもと、耕作放棄地の再生に努めた。その結果、06年から11年までの約5年間で27.37ヘクタールの耕作放棄地を解消した。ブロッコリーやジャガイモ、ハウス栽培によるハーブの試験栽培にも取り組んできた。
 11年、大規模農業経営を実現し、6次産業化に向けた取り組みを進めようとしていた矢先、東日本大震災が襲った。原子力発電所事故による放射能汚染でやむなく営農を中断。現在は専ら瓦礫(がれき)処理などの土木作業に追われている。
 しかし農業経営に対する情熱は変わらない。同県相馬市で60アールの農地を借り受け営農再開への第一歩を踏み出した。今後は同市で規模拡大を図りつつ、近い将来、全村民とともに飯舘村に戻り、地域農業をリードして同村の復興の一役を担いたいと意気込んでいる。

 [2012-5-11]