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耕作放棄地対策

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山口型放牧で放棄地解消へ 防府市農委会 作り手いない水田に利用権設定

生い茂っていた雑草を一掃
他の放棄地での放牧にもつながる

 山口県防府市農業委員会(村田武志会長)は耕作放棄地解消のため、同県が2000年度から普及を手がけている水田を利用した肉用牛放牧(山口型放牧)をモデル的に始めた。農業委員自らが、排水が悪く作り手のいない水田に利用権を設定。春から秋にかけて和牛を放牧することで雑草が繁茂していた景観が一変。周辺でも除草が行われるようになるなど波及効果も生んでいる。

「自助の精神」で促す
地域の自発的対応に期待

 耕作放棄された水田への牛の放牧を始めたのは農業委員の池田静枝さん(64)。同市に2人いる女性農業委員の1人だ。以前は草1本見ないような美田が連なる地域だったが、減反政策が始まると排水の悪さが災いして遊休化。セイタカアワダチソウが生い茂る土地になった。
 搾乳牛48頭とともに肉用牛15頭を飼う池田さんは「荒れている水田をそのままにしておくのは気の毒。なんとか一掃できないか」と3年前、県内各地で成果をあげている「牛の放牧」を土地所有者や農業委員会事務局に相談。牧草を播は種しゅした60アールに妊娠牛2頭を試験的に放つと、心配されていた悪臭や害虫の発生などもほとんどなく、見事な“放牧地”に生まれ変わった。
 最初は県から借りていた電気牧柵も市の補助で自前に。さらに牛の水飲み場も整備するなど、本格的な放牧が可能になった。また、放牧場所が子どもたちの通学路になっていて、思わぬ教育効果も生まれた。何より、同僚の農業委員1人が県農業大学校の牛を借り、他の地域の耕作放棄地で牛の放牧を始めることにもつながった。
 池田さんは「放牧地として整備することで水路が通じ、全体の排水も良くなった。地域の若い人たちがそこを借りて飼料稲を作ると言い出したんです」と、嬉うれしさを隠さない。今年も2頭を1〜2か月間、放牧する計画だ。

 [2012-5-25]