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女性農業者

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富士山ろくの牧場 自然の楽しさたっぷりと――鷲野珠里さん(山梨・富士吉田市)

 山梨県富士吉田市の鷲野珠里さん(36)は夫の太一さん(38)とともに、宿泊施設と羊や牛・馬、自然と触れあえる牧場を営む。
 2人とも東京都出身で、会社勤めからの転身。富士山のふもと、標高900メートルの環境の中で年間4、5千人の宿泊客を受け入れるほか、収穫・農産加工や森林ウォークなどさまざまな体験・遊びを提供する。
 今年からはブドウ粕を使った羊肉加工品の製造・販売も始めた。新ブランド確立と「ここが好きで、何度でも訪れたい場所にすること」が夢だ。
 珠里さんは大学を卒業するとメガバンクの一つに就職。その後のマーケティング会社勤務と合わせた8年間で、社会人としての一般常識や接客のノウハウ、事務技能を身につけた。外資系コンサルタント会社の社員だった夫とともに農業とは無縁だった。
 山梨へは太一さんが仕事で訪れたことがきっかけ。当地の自然の素晴らしさに魅了され、移住を決意した。使われていなかった個人の別荘を時代の変化に合わせ大規模改修し、2006年8月から宿泊業を始めた。するとお客から「自然の中で子どもを遊ばせたい」「近くに牧場はないのか」などの声が寄せられ始めた。
 改めて周りを見ると、電柱や看板のない素晴らしい景色が取り囲む。ここに動物がいたら宿泊客以外も立ち寄るのではないか、そんな思いで牧場を始めることに。だが2人とも家畜を飼ったことはない。行動派の太一さんが県畜産課に「牛を飼いたい」と相談すると、「一度話しに来ませんか」と応じてくれた。
 その後、三重県の伊賀の里モクモク手づくりファームを視察したり、県や関係者の支援を得る中で、08年8月の「ふじさん牧場」(代表は夫の太一さん)の開業(11年5月、株式会社化)にこぎ着けた。羊は八ケ岳の県営牧場から導入。牛・馬は県内各地から借りるとともに飼い方を教わった。地域の人たちの力も借り、山の急斜面にテラス状の土地1ヘクタールを確保した。

 [2012-6-1]