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大地

 『奇跡のリンゴ』(幻冬舎)が多くの人に読まれているようだ。農薬と肥料を全く使わないリンゴづくりに成功した男の物語だ。主人公は青森県旧岩木町の農家・木村秋則。NHKが一昨年12月に「プロフェッショナル仕事の流儀」で取り上げ、話題を呼んだ▼これまでも有機農業の先駆者とその苦難の物語は数多くあった。それが今、なぜ、これほど多くの人にこの本が読まれ、共感を呼ぶのか▼リンゴの木を枯らし、家族を貧困のどん底に陥れ、死を決意するほどの苦闘。「ひとつのものに狂えば、いつか必ず答えに巡り合える」という木村の生き方に、読者は勇気と希望を感じ取るのか▼「リンゴの木は・・・周りの自然の中で、生かされている生物なわけだ。人間もそうなんだよ。人間はそのことを忘れてしまって、自分独りで生きていると思っている」。自然を支配するのではなく、謙虚に自然と共生するところに未来があると共鳴するのか▼「自然の手伝いをして、その恵みを分けてもらう。それが農業の本当の姿なんだよ。今の農業は、残念ながらその姿から外れているよ」。食の安全に関心を持ち、現代農業への警告を真摯に受け止める人々が、間違いなく増えている。

 [2009-1-23]