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豚舎汚水からリン回収 肥料として有効活用 使いやすい技術でタマネギに効果

 豚舎から出る汚水には高濃度のリンが含まれており、そのまま河川に放流すると環境汚染を引き起こすため、このリンを除去する必要があります。
 一方で、リンは最も重要な肥料成分でもあります。しかし、日本にはリン資源がほとんどないので輸入に頼っており、除去だけでなく、リンを資源として再利用できる技術が望まれています。
 ◆結晶化による方法
 リンは、汚水の中にさまざまな形で存在しており、汚水がアルカリ性になると、他の成分と結びついて結晶(固形物)となります。この結晶は、大部分がリン酸マグネシウムアンモニウム(別名MAP)です。MAPは土の中で徐々に溶ける性質を持っており、MAPを肥料として使うとタマネギが大きく育てられることがわかりました。豚舎汚水は、空気を送り込むとアルカリ性になり、それによってMAPの結晶を取り出し肥料として使うことができます。実際に農家にも使いやすい技術として注目されています。
 ◆吸着資材による方法
 畜産排水では、処理水の着色や、病原菌などの衛生面での対策も重要な課題となっています。結晶化とは別の方法として、新たに開発された非晶質ケイ酸カルシウム水和物という資材(ケイ酸と消石灰から製造)を使うと、処理水の着色を除去すると同時に、消毒を行い、さらに排水中のリンを回収して肥料として利用することができます。回収した肥料には、カルシウム、マグネシウム、ケイ酸などの肥効成分も含まれています。今後は処理費用などの課題を解決し、技術の普及を目指します。

 [2012-12-21]