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インタビュー 誉田哲也さんに聞く 「幸せの条件」に込めた思い

 「ストロベリーナイト」の姫川玲子シリーズや「ジウ」などのヒット作が続く作家の誉田哲也さんが昨年に刊行したのは、農業をテーマに据えた小説「幸せの条件」。東京で働いていた24歳のOLが、成り行きで長野県の農業法人で働くことになり、戸惑いながらも成長していく姿をさわやかに描く。後継者の不足する農村や農家のバイオエタノール用米への拒否反応など、細部にこだわった本格農業小説だ。著者の誉田さんにこの作品や農業への思いを聞いた。

――なぜ農業をテーマにしようと
 2008年の「リーマン・ショック」のとき、仕事を求めてハローワークに長蛇の列ができましたよね。仕事はない、でも農業はイヤだという人が多かった。この人たちは何だろう、この考えをひっくり返したいと思いました。多くある仕事の一つとして見てほしいと。
――農作業など詳しく記載しています
 長野県の農家さんへ何回も取材に行かせてもらいました。トラクターやコンバインなどにも乗せてもらい、一通り作業しました。農作業や農業機械は、とても効率的、論理的にできているんだと知りました。
――バイオエタノールも物語の大きなテーマです
 かなり前から、再生可能エネルギーに関する話を作りたいと思っていました。当初は、企業での開発苦労話かなと漠然と考えていたのですが、バイオエタノールは採算性でビジネスとして成り立たないため、落としどころが見つからなかった。そんな時に震災で原発事故が起きました。コストでペイするとか、そんなことではエネルギーは語れないと分かりました。
――農業に対する印象は
 こんなに携帯電話を作るぐらいだったら、もっと農業に力を入れるべきだと思っています。ビジネスチャンスも大きいと思いますし、実際に大きくならなければいけないと感じています。農家の皆さんには「おれたちが食わしてやってるんだ」というぐらいの気概でいてほしいです。

幸せの条件(中央公論新社=本体価格1600円) 2012年8月25日刊行 誉田哲也 著

 誉田哲也(ほんだ てつや)=1969年、東京生まれ。学習院大学経済学部卒。2003年「アクセス」でホラーサスペンス大賞特別賞。ホラー、伝奇、推理、青春小説と幅広いジャンルの作品を執筆。姫川玲子シリーズは累計260万部を記録。「ストロベリーナイト」や「武士道シックスティーン」など映像化作品も多数。

 [2013-2-8]