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大地

 古代ローマ帝国にも農地改革と農地法があった(塩野七生著『ローマ人の物語』に詳しい)。国有農地の借地に上限を設け、大農園を制限。上限を超える農地は国に返還させ、農民に再配分。自作農の育成に努めた▼農地法の制定は、紀元前2世紀以降常に国論を二分。2人の護民官が反対派に暗殺されるなどした。紀元前59年、最後にジュリアス・シーザーが仕上げた▼征服地から移入される安い小麦との競争、富裕層が奴隷を使って経営する大農園との競争に、中小農民は敗れ、農地は借金のかたに取られ失業。農地は少数の富裕層に集中。貧富の差の拡大と社会不安を招いた。農地法はローマ社会の安定に欠かせなかった▼さて、日本では農地法などの改正法案が閣議決定された。農地改革後の農地法を抜本的に見直すという。規制緩和論者やマスコミは「平成の農地改革」とはやし立てている。農地の貸借規制を緩和し、一般企業の自由な農業参入を認める。WTO(世界貿易機関)など貿易自由化に対応し、農業を効率化するため、企業参入と農業の大規模化を促すのがねらいだ▼経済効率だけでなく、家族農業を維持し、社会の安定を考えたローマ人。はるか2千年以上前の人類の英知に学ぶ必要はないか。

 [2009-2-27]