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耕作放棄地対策

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動き出す荒廃農地の全体調査(3)植栽現況調査で確認――担い手へ面的に集積

鹿児島県奄美市は、かつて住民が山に登り、せっせっと手開墾で農地を広げた。傾斜地で条件が悪い場所は相続登記が未了のまま放置され、今では木が生い茂り農地の判別が難しくなっている。一方、平たん部ではサトウキビと牧草の作付け拡大が期待されている。
  市農業委員会(山口敏光会長)は、名瀬地域で土地改良区と連携し、基盤整備地区で、毎年「植栽現況調査」を実施している。栽培品目ごとに色分けした図面を作成し、耕作放棄地は主にサトウキビ農家や繁殖肉牛農家に農地の流動化を図ってきた。05年には地元の建設業者が農業生産法人「奥信興農」を立ち上げ、耕作放棄地を解消、約17ヘクタールまで規模を拡大している。
  耕作放棄地の全体調査に併せ、植栽現況調査を行ったところ、名瀬地域の167ヘクタールのうち草刈りや重機などで耕作可能な農地が33ヘクタール、基盤整備して利用できる農地が21ヘクタールあることが確認できた。住用地域、笠利地域でも基盤整備地区の現地調査を5月末に完了、現在、集計中である。
  農業委員会の山下修次長は「残りの中山間地の調査が大変な作業になる」という。この一帯では土地所有に対する意識が低く、不在地主の農地や相続登記未了農地が多い。タンカンなどを栽培する果樹農家の規模拡大は進んでいるものの、放置された場所はすでに原野化した。
  山下次長は「農業を再開できる場所ではない。非農地にするかも含めて検討する」と説明する。
  夏場にやぶに入るとハブが出没するため、残りの調査は9月から始める。固定資産税台帳、農地基本台帳を調べながら、27人の農業委員が各地区を回る予定だ。農業委員でも場所が特定できない農地が相当数あるため、各集落の地理に詳しい人にも手伝ってもらう。その分、人件費は増えるが、農業委員会は国の「担い手アクションサポート事業」を活用する。
  前山重一郎会長代理は、調査終了後の解消計画を「平たん部で遊休化しているのは水田がほとんど。基盤整備を進め、サトウキビ農家や肉牛農家への利用集積を図っていく」という。山下次長は「農地を面的に集められれば良いが、不在地主や相続登記未了農地の問題を解決しなければ」と課題を掲げる。

 [2008-9-5]