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農の雇用事業 事業活用し、長期的な人材育成を

 4月に研修を開始する農の雇用事業の募集が始まった。今回からが2017年度の募集で、新たな事業要件が盛り込まれた。
 1点目は、応募の可否に定着率の過去実績を反映させること。過去5カ年度に研修生が2人以上で理由を問わず定着率が3分の1未満の経営体は、人材育成が不十分として申請自体を受け付けない。いわば「足切り」を設け、事業の実施を優良経営体に重点化する措置である。
 2点目は採択後の要件。研修生の指導役となる経営者などに対し、人材育成に関するセミナー受講を義務づけた。
 これらを事業の要件としたのは、政府が昨年11月に決定した農業競争力強化プログラムに同事業の見直し方向が明記されたためだ。事業を実施している農業法人などの人材育成の動きが鈍く、それが研修生の定着に結びつかない要因と判断された。事実、これまでの同事業では経営者などが自らの人材育成能力を向上させる「指導者研修費助成」の活用があまり進んでいない。
 したがって、今回の事業要件の追加は、定着率の向上という「結果」を求める国からのメッセージだといえる。
 人材育成は全ての産業において最優先のテーマだ。しかし、実態は日々の業務に追われて研修や指導が後回しになりがちではないか。そうすると、社員は目先の成果を重視する労働力となる。結果、社員は将来に不安を抱え、最悪、会社を辞めるという悪循環が生まれてしまう。経営の要素といわれる「ヒト」を育てなければ目先の状況は変わらないことを肝に銘じるべきだ。
 官邸は「働き方改革実現会議」で、日本人の働き方を抜本的に改革しようとしている。人材確保は全ての産業が競争相手だ。よい人材ほど自分が成長できる職場を選ぶ。
 農業経営者には、同事業を使った長期的な人材育成に努め、他産業に負けない職場づくりに挑戦してほしい。

 [2017-2-10]