カテゴリータイトル

主張

すべての記事を読む

熊本地震から1年 施工業者不足、万全の対策を

 昨年4月に発生した2016年熊本地震では、14日の前震と16日の本震で気象庁震度階級で最も大きい震度7が発生し、途方もない大地の揺れに見舞われた。家屋の倒壊などで多くの人命が失われ、道路・鉄道の寸断などによる経済的損失も計り知れない。中でも農業関係の被害は大きく、熊本県内だけで被害額は1300億円を超えた。
 家を失った農業者も多く、仮住まいを続けながらも経営再開への意欲は強い。国・県などの支援が大きな助けになっているが、取材を続けるなかで繰り返し聞かされたのが、施工業者の不足による復旧工事の遅れへの懸念だ。
 農業被害の多くは農地や農業用施設だった。用水路の損壊などで、昨年は作付けを断念したり、水田に水をためることができずに水稲を大豆に転換した圃場もあった。比較的軽微な損壊は農業者による自力施工がほぼ終了し、今年産は作付けできるという。
 問題なのは国の査定が終了し、これから本格化する復旧工事だ。県は担い手の営農意欲が強いことから、県内3地区の水田を県営事業で大区画化するなどの「創造的復興」に取り組んでいる。市町村が行う工事や、個々の農業者による畜舎や農作業場などの再建も急がれる。
 だが、多くの住宅が倒損壊し、道路も各地で寸断されたため、これらライフラインの復旧に全力が注がれ、施工業者の絶対数が足りていない。人件費の高騰などにより、工事費も増大している。補助事業による復旧・建設工事の要件である入札自体ができないケースが相次いでいる。
 東日本大震災からの復興もまだ途上であり、施工業者の不足は簡単には解消しそうにない。復旧・復興の枠組みはできても、実情は厳しいのが現実だが、工事の遅れが経営意欲の減退を招かないよう、万全の対策が求められる。震災を乗り切り、農業県熊本の底力をみせてほしい。

 [2017-4-14]