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田園回帰 地域の魅力や生き方が人を呼ぶ

 今年もお盆のにぎわいが終わった。遠く離れた親族が一堂に集い、先祖の墓参りや夏祭りに出かけた家族も多いのではないだろうか。普段は遠くに暮らす子供や孫も顔をそろえ、家庭にも地域にも笑顔あふれるひととき。それだけにお盆明けの今の時期はさみしさも増す。
 日本の高齢化率(総人口に占める65歳以上の人口割合)は昨年10月時点で前年から0.6%増の27.3%になった。都道府県間の差も大きく、最も高い秋田県(33.8%)と東京都(22.7%)では10%以上開く。農村部は都市部より20年ほど高齢化が進行している状況だ。
 その一方で、都市部では農山漁村へ移住する「田園回帰」の動きが強まっている。総務省の有識者研究会は3月、都市住民の約3割が農山漁村への移住願望を持っているとの調査結果をまとめた。調査報告書は「田舎暮らしはもはや夢として語られるレベルではなく、過疎地域において着実に起きている」と指摘した。
 移住者が若い世代に移行しているのも吉報だ。田園回帰の主要層だった60歳以上のリタイア世代に代わり、ここ数年は20〜30代の子育て世代が急増する。NPO法人ふるさと回帰支援センターへ移住の相談に来る約半数がこの世代。暮らしの場、子育ての場として農村部を捉え、現実的な目線で移住を考えている。
 地方創生関連の事業が始まってから、地方自治体では移住対策が本格化した。移住者への奨励金や住居への助成など金銭的なメリットを用意する市町村も多い。ただ、こうした支援は移住を決める最後の一押しにはなっても、決してきっかけにはならない。移住希望者に移住を考えさせるのは、その地域にしかない魅力であり、そこに住む人たちの生き方だ。
 稲刈りなどでこれから忙しくなる農村部。少し立ち止まってわが村の魅力を見つめ直してはいかがだろうか。

 [2017-8-25]