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食料自給率38% 食料安全保障は国家の責務

 2016年度の食料自給率がカロリーベースで38%となり、過去2番目に低い水準となった。対前年度比はマイナス1.91ポイント。実質2ポイントの落ち込みとなる。2010年度から横ばいが続いていたが、ここに来て下方に傾いてしまった。
 低下要因について農水省は、▽昨夏に北海道を襲った台風による小麦やテンサイの生産量の減少▽米の消費量の減少――を挙げている。前年度との比較という意味では確かにそうかもしれないが、長期的に見ると、カロリベースの食料自給率はこの半世紀で35ポイントも低落している。
 一方の生産額ベースの食料自給率は前年度から2ポイント増の68%になったが、こちらも長期的には18ポイントの減少だ。こうした傾向に歯止めをかけ、いかにして国の目標(カロリーベース45%、生産額ベース73%)に近づけるかが問われている。
 世界では人口増加や異常気象の多発が危惧されている。食料危機という有事が将来、現実のものになるかは分からないが、リスクヘッジ(危険回避)するのが国家の責務だ。食料自給率の向上は難題だが、子供や孫、そして未来の世代のためにも避けて通るわけにはいかない。
 齋藤健農相は先月15日の会見で、麦・大豆・飼料用米などの生産拡大や輸出拡大の必要性に言及した上で、「消費者のみなさんが意識を持っていただくということが大変重要」と呼びかけた。食料自給率アップのためには生産・消費両面からの総合的な対策が必要となる。
 気がかりは、全国の耕地面積の約4割、総農家数の約4割を占める中山間地域農業の衰退だ。規模の大小を問わず、農家一人一人は日本農業を支える主役である。総力で食料自給率を上げるための思い切った手立てがほしい。政府による自由貿易推進が生産現場に影を落としているのは、言わずもがなである。

 [2017-9-1]