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新生農委 農委中心に株式会社設立 兵庫・多可町農業委員会

 中山間地域の兵庫県多可町で農業委員の今中佳昭さん(68)が、地域の農地を守るため活躍中だ。地元の箸荷(はせがい)集落に集落営農組織の(株)箸荷営農組合をつくり、自ら代表に就任。集落全体で農業を支える体制を築き上げた。
 同組合には集落の全農家50戸に加え、非農家も加入する。作業受託も含め25ヘクタールで、米や稲発酵粗飼料(WCS)、黒大豆などを栽培。集落の農地の4分の1を組合に集積し、地域の受け皿として機能させている。
 設立を主導したのは今中さんだ。「ここは農業だけで食べていくのが難しい中山間。後継者がいない中で高齢化が進み、農業委員として知らんぷりはできなかった」と発足時を思い返す。
 今中さんは60歳の定年後に農業に専念し、すぐに農業委員になった。高齢化と後継者不足に危機感を募らせ、農家同士で助け合う集落営農を立ち上げようと決意した。全戸アンケートや集落総会などでの呼びかけを通して、徐々に集落一体の機運を高めていった。集落への説明には、農業委員会事務局や町、県も参加し、今中さんを後押しした。
 組合は2013年11月に発足した。今中さんが呼びかけてから4年以上が経過。「集落のみんなが必要と思わなければつくれない。同意なくつくったとしてもうまく機能しない」と集落内の合意形成を重視したためだ。将来の選択肢を増やそうと、スタートから株式会社とした。
 設立を機に集落の活動が活発になった。被害が増えていたイノシシとシカに対する対策は、各戸で行っていた金網フェンスに加えて、オリでの捕獲を新たに始めた。組合は組合員から資金を募り、オリを購入。一部の組合員が狩猟免許を取得して、自分たちで集落を守る体制を築き上げ、被害を激減させた。
 組合には他の集落からも農地が集まるようになってきた。リタイアが増加する近年は、集落だけでなく地域の受け皿にもなっている格好だ。今中さんは「組合は集落に定着した。組合自体の高齢化という問題もあるが、地域の農業を将来につなげたい」と話す。
 同町は8割近くが山林の中山間地域。酒造好適米の山田錦のルーツを生んだ町として名を残す一方で、傾斜地が多く、規模拡大による効率化には適していない。今中さんが危惧する高齢化と次世代の担い手不足は切実な問題だ。
 同町農業委員会(宮正巳会長)は、来年5月に新体制に移行する。今中さんのように地域に寄り添った活動をより徹底するため、農地利用最適化推進委員を設置して、人員を増加する意向としている。支え合う中山間地域農業を町全体に広げていく考えだ。

写真説明=地域を引っ張る今中さん

 [2017-10-6]