紀伊半島から新種、クマノザクラを発見 ~観賞用のサクラとして期待~

 日本の春を代表するサクラですが、ふだん目にする多くは‘染井吉野’や‘枝垂桜’などの栽培品種です。こうした栽培品種は人が創ったものですが、日本列島にはもともと野生のサクラが分布しています。沖縄のカンヒザクラを除くと、これまで9種の野生種が知られていましたが、紀伊半島から新たな野生種が発見されたのです。これまで自生地ではヤマザクラとして扱われていましたが、詳しく調べてみるとヤマザクラと異なることから、分布域の名称からクマノザクラと名付けられました。
 クマノザクラの花は、ヤマザクラと比較すると、花弁色が濃く、花序あたりの花数が少なく、花序柄が短いなどの違いがありました。また、葉の長さや幅が小さい、鋸歯が荒い、裏面が淡緑色などの点も異なりました。さらにクマノザクラの開花期はヤマザクラよりも早く、重ならないことも判りました。交配の有無は、生物の種の分化にとってきわめて重要な要素です。こうした複数の明確な違いが認められたことから、クマノザクラは、新しい野生種として2018年に学名が公表されました。