新生農委 新制度移行で体制強化 福岡・飯塚市農業委員会

 4月1日から新体制に移行した福岡県の飯塚市農業委員会(深町義則会長)が農地利用の最適化に向けた活動を活発化している。8〜9月はこれまで以上に徹底した農地パトロール(利用状況調査)を展開した。深町会長(72)は「地域に密着しながら、一つ一つ地道に活動して、農家の収入アップに結びつけていきたい」と意気込みを話す。
 新体制下での農地パトロールは、事前調査と本調査の2段構えで行った。事前調査は農地利用最適化推進委員が担当地区の遊休農地を事前に確認し、地図に記録。事務局が各地区の状況をまとめ、その後に農業委員、事務局、市の担当職員が同行して本調査に移る。
 この二重の調査によって、農地の遊休化や違反転用をもらさず、さらには農業委員会での認識共有も円滑にした。両委員の約半数が新任ということもあり、意思統一や認識の共有は例年以上に意識する。事前調査の前にはメンバー全員が集まり、農地パトロール推進会議を開いた。すべての調査が終わったら、総会の前に報告会も行う。
 事務局の梶原康治係長は「今年は新たなスタートの年。初の共同作業の農地パトロールで共通理解を図り、農地中間管理機構とも連携して、農地を担い手につなげたい」と話す。
 1市4町が2006年に合併した同市は面積の半分以上が森林の一方で、福岡市、北九州市のベッドタウンとして開発圧力が強い。農地維持には厳しい環境ながら、農業委員会一丸の努力で、遊休農地の発生を未然に防いできた。
 今年4月1日からの移行では、さらなる体制強化を念頭に置いた。昨年11月には「農業委員会の役割はますます重要になる」と増員を求め市長に建議。市議会や市関係部局にも丁寧な説明を重ね、政令上限の体制を確保した。
 従前に農業委員37人だった体制は、農業委員19人、農地利用最適化推進委員30人となり、12人増員した。1人だった女性農業委員は3人に増え、地産地消や食育などにも力を発揮して、委員会に新風を吹き込むと期待されている。
 農業委員と推進委員がペアになっての活動や推進委員の総会への積極的な出席を促したことで「総会での発言が活発になった」と深町会長は新たな体制に手応えを感じている。
 今後の活動には、「農地を集約して、意欲的な若い担い手に託していきたい。市やJAとも協力しながら、法人化の促進や新規就農者の育成・支援にもみんなであたりたい」と意欲をみなぎらせる。

写真説明=調査前には委員会全員でパトロールのやり方や遊休農地の判断基準を研修した