農年加入推進に全力 2年連続表彰 神奈川・横浜市南西部農業委員会

 横浜市南西部農業委員会(北村豁会長)は農業者年金基金の2020年度農業者年金事業表彰(新規加入数部門)を受賞した。受賞は前年度に続いて二度目。北村会長個人も地域での加入の実績を上げ、2019年度に功績評価部門で表彰を受けている。自らが旗振り役となって活動の機運を高め、農業委員会全体の取り組みへと昇華させた。加入推進活動を通じて各委員と若手農業者に接点が生まれ、地域の担い手づくりにもつながっている。

加入推進に力を入れる横浜市南西部農業委員会のメンバー。
前列中央が北村会長

 横浜市は人口約370万人超の政令指定都市である一方、大消費地の特性を生かした多種多様な農業経営が展開されている。同市には農業委員会が二つ設置されており、南西部農業委員会は農業委員14人、農地利用最適化推進委員11人の25人の体制だ。
 同委員会の農業者年金新規加入者数はこれまで毎年2人前後だったが、2019年度に16人に急増した。このうち5人は北村会長によるものだ。
 戸別訪問の際には対象となる若手農業者に加え、両親や配偶者にも同席を促す。年金の加入には対象者本人だけでなく、家族の理解が不可欠だからだ。年金額の試算のシミュレーションなど必要な資料は同委員会事務局が用意し、説明は農業会議職員も行うなどの工夫をしている。

 北村会長は若手農業者とのコミュニケーションを「種播き」と呼んでいる。互いの農業経営について情報交換をしたり、世間話に花を咲かせるからこそ、年金や将来に関する話題に耳を傾けてくれるという。委員として若手農業者を見守り、応援することにもつながっている。
 会長の熱意は委員会全体に波及した。委員の前任期の最終年度となった2019年度、北村会長は各委員に新規加入者1人の確保を依頼した。委員は8月に候補者リストを事務局に提出。会長のノウハウを参考にしながら加入推進活動を展開した。

11月4日の戸別訪問では、農業委員の青木司光さん(中央右)
農業会議職員が加入推進対象者に説明

 こうした取り組みが実を結び、2019年度には16人の新規加入者を確保することができた。2020年8月に行われた改選では、18人の新任委員が誕生。加入者数目標を「任期中に1人」から「1年に1人」に引き上げるなど、さらに力を入れた。その結果、2020年度の新規加入者数は11人となり、今回の表彰につながった。
 加入推進の協力体制も強化している。横浜市農業委員会連合会、横浜市南西部・中央農業委員会、JA横浜、JA県中央会、県農業会議の合同対策会議を年3回開いて目標を共有。横浜市中央農業委員会も2020年度に初めて全国3位を受賞するとともに、JA横浜も2019、2020年度と2年連続でJA部門の全国1位に輝いている。
 北村会長は「農業者年金への加入を通じ、将来の地域農業をけん引する若手に老後の安心と誇りを持ってもらいたい。委員の立場で積極的にPRしながら、地域を盛り上げたい」と話す。現体制2年目の2021年度も加入推進活動をきっかけにしながら、将来の地域農業の担い手を応援している。