人・農地プラン実質化へ具体的活動で成果 福井・南越前町農業委員会

農地の有効利用を図るためのそれぞれの役割について
ワークショップを行った、本年度の農地利用最適化検討会
農地の利用区域図

 南越前町農業委員会(惣次健一会長)では、農家への営農意向などのアンケート調査や担い手への個別ヒアリングを実施するとともに、地域農業の持続と発展に向けた話し合いを行い、人・農地プラン実質化と実践を進めている。

 同町農業委員会では2018年から毎年、農地利用最適化検討会を開き、人・農地プランの実質化を推進するための勉強を行っている。また、2019年4月からは実際に農地の利用区域図を使い、利用集積・集約化に向けた地区別の検討会を行うなど、人・農地プランの実質化に向けた具体的な取り組みを開始した。
 あわせて、地区の農家組合長に組合員に対する今後の地域農業のあり方についてのアンケートの配布と回収を依頼した。農家組合長に集落内の営農状況と集落の意向調査を実施。担い手には個別に今後の農地の集積や集約化の意向についての聞き取りを開始した。
 アンケート調査の結果からは、現在耕作はしていても後継者のめどがついていない農業者が全体の4分の3を占めることがわかった。また、「高齢化のため担い手が少ない」「地域外からの担い手が必要」などの問題意識が明らかになった。

 担い手への個別ヒアリングは、町内の認定農業者など44人に対し、農業委員と農地利用最適化推進委員、農業委員会事務局や他関係機関の担当者があたった。
 集落の話し合いが完了した地域から順にプランの見直し案を町に提出。見直し検討会を経て、実質化されたプランが公表される仕組みだ。
 その結果、町内全40地区のうち17地区が昨年度までに実質化を完了した。本年度は3地区が実質化に向けての話し合いを終え、3月末までにプランを公表する予定だ。残りの20地区でも順次、話し合いの実施や見直し案の提出を予定している。
 本年度の農地利用最適化検討会は、農業委員・推進委員以外に若手の担い手農業者なども参画。県内から外部講師を招いて先進事例の講義を受けた後、グループワークも行った。参加者からは、「農地の保全管理は地権者が行う。それができない場合は集落内に保全管理をする組織をつくる必要がある」「遊休農地の発生には、多数の悪条件が重なっている。最終的に自分の農地は自分で守るのが基本なので、活用できる制度や事例の情報提供をしてほしい」などの意見が出されているという。
 惣次会長は「関係機関と連携して話し合いの場を大切にしながら、また、地域の現状・課題を受け止めながら、地域の実情に合った農地利用の最適化が図れるよう活動を続けていきたい」と話している。