活動の「見える化」を積極的に 群馬 千代田町農業委員会
群馬県邑楽郡千代田町(おうらぐんちよだまち)は、〝鶴舞う形の群馬県〟の首部分である県東部に位置し、利根川の豊かな水を利用した、田園の広がる農業地域だ。19824月1日に千代田村から町となり、今年で町制施行40周年を迎えている。人口は約1万1千人、総農家数396戸、農地面積は916㌶を有し、米麦を中心としてハクサイ、キャベツなどの露地野菜の生産が盛んな地域における農業委員会活動を紹介する。
千代田町農業委員会(蛭間泰四郎(ひるまたいしろう)会長、農業委員・農地利用最適化推進委員計19人)は、農業委員会活動の「見える化」に積極的に取り組んでいる。
2019年12月、町内の全地域を対象に行った「人・農地プラン」の実質化の話し合いで、75歳以上の農業者が耕作している農地を地図に落とし込み、5~10年後の担い手は誰になるのか、集約を妨げている要因を洗い出し、プランを策定した。その後、コロナ禍の下、思うように農業委員会活動を展開できない中、同プランの実現に向けた課題に取り組んだ。
21年2~3月にかけて、高齢化が進む耕作者のうち、口約束での農地の貸し借りを法的な手続きとするために各地域で委員が動いた。適切な農地行政の実施とともにプラン実現への足がかりとするためだ。該当者へ貸借に必要な書類の配布から回収までを行い、138人中56人から書類が提出された。結果として、6月の利用集積計画で通常の1年分に相当する831筆841㌶を設定することができた。農地中間管理事業の契約件数は20年度119件(13.7㌶)、21年度は277件(31.6㌶)と着実に実績を積み上げている。
蛭間会長は「まだまだできる余地がある。しっかり農地の貸借を指導する農業委員会として農地の集積に努め、人・農地プランの実現に向けてつなげられたら」と語る。
21年8月11日、遊休農地解消や空き家対策の一環として、農業委員会は空き家に付属した農地については、農地取得の下限面積を50㌃から1㌃に引き下げた。地域に先んじて手を打ち、都心への通勤が1時間以内という利便性と田園風景が広がる農地付き住宅で家庭菜園を楽しめる生活を後押ししている。
22年1月25日には、委員が地元を回って町内全域の水田や用水路で、軽トラ2台分のゴミを拾った。「農地の見守り活動」として、小さなゴミが不法投棄につながることを防いでいる。本年度中に再度実施する計画だ。
農業委員を7期目、2期目の会長を務める蛭間さんは、「農地の貸借の促進だけではなく違反転用に対してはしっかり指導し、5月27日の降ひょう被害があった翌日には状況報告と今後の提案を議員へ行うなど、農業委員会は行動し、モノを言う機関であるべき。同時に、農地集積、遊休農地対策など役割を果たすことを通して、農業委員会活動は地域社会の継続にとっても大切とアピールし続けたい」と笑顔で語った。