遊休農地を解消し担い手に集積 青森 三戸町農業委員会

 三戸町農業委員会(梅田晃会長、農業委員13人、農地利用最適化推進委員12人)では、農地の集積・集約化に向け、出し手・受け手の情報を共有し、積極的に課題を洗い出している。高齢化が進み、担い手が減りゆく中で、農地を担い手に集積できるよう農業委員会全体で連携して対応する。

農地パトロールで遊休農地の発生防止に努める

 三戸町は県南東部に位置し、三方を山に囲まれているため寒暖差が大きい盆地型の気候が特徴だ。米、リンゴやサクランボなどの果樹、露地野菜、葉タバコ、畜産に至る多様な農畜産物が生産されている。
 農業委員会は、日頃から農地の見回りやあっせん、相談活動に力を入れる。地域の担い手に対し農地中間管理機構の利用を呼びかけ、農地の集積を推進している。
 近年では、同町の老久保(おいくぼ)・毒久保(ぶすくぼ)地区で大規模経営者が急逝し、後継者もいないため約17㌶が遊休農地化した。近隣農地への影響も懸念され、県、機構と連携して農地の再生について協議。人・農地プランの座談会を通してこの農地の受け手を募り、集積・集約化をして14㌶の遊休農地を解消した。地域・機構と連携して機構集積協力金交付事業を活用しさらに集積を進め、両地区内103㌶のうち84.7㌶の集積にもつながった。
 今ある農地の保全活動も欠かさない。8月から12月の農地パトロールでは、町内を四つに分けて調査。本年度はタブレット端末を追加導入し調査精度を高めていく。遊休農地については各種の会議などを通して情報共有し、地域の担い手に利用を働きかける。
 梅田会長は「優良農地を遊休農地にしないことが何より重要」と話す。

集落座談会で将来の農業の在り方を話し合う

 地域計画の策定では、昨年8月に利用意向調査を開始。文書による回答のほか、委員による訪問も行い、全体の74%から回答を得た。
 調査では、今後の経営規模として現状維持を希望するが61%、規模縮小または離農を検討するが35%で、規模拡大は4%にとどまった。後継者がいない経営体も57%にのぼり、長期的には担い手が確実に減少する状況が明らかになった。
 農業委員会と町農林課では、調査結果を反映した現況地図を作り、目標地図作成のために座談会などで活用。座談会では、農業委員が中心となり現状の共有と情報収集、めざすべき将来の農地利用の姿を明らかにするよう推進。出席者からは、長期的な展望として集落営農組織を経て法人化をめざすのはどうかなどといった意見もあり、地域の将来に向けた話し合いが続いている。