話し合い活動 円滑化・効率化 山形・朝日町農業委員会

 朝日町農業委員会(鈴木好一会長、農業委員12人、農地利用最適化推進委員9人)では、以前から地域における話し合い活動の円滑化・効率化に力を入れており、農業ファシリテーターの資格を持つ農業委員らが伴走支援する山形県農業会議とともに農村現場での合意形成に貢献している。

中部地区では、説明後に目標地図の素案作成が進められた

朝日町は県の中央部に位置する人口約6千人の町だ。耕地面積は992㌶で集積率は73.4%。冬は降雪量が多く、夏は昼夜の寒暖差が大きい気候から高品質な果樹の栽培に適しており、特にリンゴは無袋ふじ発祥の地として知られている。
 これまで農業委員会は、町農林振興課とともに人・農地プランの実質化に向けた取り組みを積極的に行ってきた。地域における話し合い活動の重要性を早くから認識し、その円滑化・効率化を図るため、会議ファシリテーター普及協会が提唱する手法(ファシリテーターによる合意形成型会議)を実践している。
 農林振興課との共催で「農業の未来を考え楽しく夢を語る座談会」を町内3地区(北部・西部・中部)で開き、農業ファシリテーターの資格を持つ女性委員2人が「対話」と「まちづくり」のスキルを駆使して座談会を進行するなど、農業委員会の支援が功を奏し、22021年度末には話し合いによる合意形成に至った。
 これによって各地区の人・農地プランにおける方針が決定し、その後の地域計画に引き継がれた。

朝日町目標地図(現状)

 今年8月、農業委員会と農林振興課は3地区ごとに地域計画の目標地図作成に向けたワークショップを開催。集落数が最も多い中部地区は8月5日に役場隣の朝日町エコミュージアムコアセンター創遊館で開き、農業者など約30人が参加した。
 参加者は目標地図とワークショップについて説明を受けた後、五つのグループに分かれて作業を開始。事前アンケートの結果を基に作成された意向反映地図を広げ、現在の状況などを確認した上で10年後も農業を続けられる人の名簿を作った。
 次に名簿登載者の番号が付されたシールをその人が管理できる可能性のある農地へ貼り、目標地図の素案を作っていった。
 参加者からは「高齢者しかいないので農地を維持できない」「遊休農地の増加を実感した」「自分の地域が大変な状況になっていると分かった」などの声が聞かれた。
 目標地図が徐々に見えてきたことで、参加者は改めて「農地の将来像」を考える必要性を認識していた。次回が最終のワークショップの予定。