アプリ、タブレットで効率化・省力化 石川・能登町農業委員会

 2025年3月末までの期限が迫る『地域計画』の策定に向けた活動が本格化する中、農業委員会の業務量は年々増えており、業務の効率化や省力化が課題だ。能登町農業委員会[的場清一(まとばせいいち)会長、農業委員12人、農地利用最適化推進委員18人]ではサグリ㈱(兵庫県)が開発した農地パトロールアプリ「アクタバ」を使った利用状況調査やタブレットの積極的な利用を進めている。

タブレットを使った現地確認

 能登半島の北部に位置する能登町は、05年に三つの自治体が合併して誕生した人口約1万5千人の町。町の里山里海が世界農業遺産に指定された町としても知られている。
 同町では23年の改選で推進委員の定数が23人から18人に減少。人員が減った中、従来のやり方で利用状況調査を行うことは難しく、委員や事務局の負担軽減が急務だったことからアクタバを導入することになった。
 アクタバは、衛星データや過去の利用状況調査の情報を基に農地の耕作放棄地率をAIが判定。その判定結果を基に同町では、耕作放棄地率が低く、明らかに耕作されている農地については現地確認を行わず、アプリ上で判定。アプリでは判定が難しい農地は現地確認を行っている。
 農業委員会事務局の橋本信康主幹は「町内には約10万筆の農地があるが、アクタバを利用することで現地確認の件数を約1万筆にまで絞ることができる。その他にも資料作成や日程調整など、事務にかかる時間は半分程度に削減可能だ」と導入効果を実感する。
 なお、本年度の利用状況調査は元日に発生した能登半島地震の影響で、道路が復旧していない地域などもあるが、できる範囲で実施していく方針だ。

農地の耕作放棄地率を表示(アクタバ)

 能登町では全委員にタブレットを配布し、総会や最適化活動などで積極的に活用している。
 総会では、事前にLINEアプリで資料を共有し、迅速な情報伝達と事務負担の軽減につなげており、震災以降は対面とオンラインを併用する。
 ハウスでキュウリなどの野菜を栽培し、23年7月から農業委員を務める大山直美さんは「農繁期で手が離せない時でもタブレットがあれば作業の合間に総会に出席できるので助かる」と話す。
 委員が農地の相談対応を行う際には、タブレットを活用し正確な情報を取得、現場で的確な助言ができている。
 事務局の蛸島慎司主事は「今後もタブレットの利便性を最大限引き出せるよう業務内容を見直していきたい。また今後も業務効率化を進め、農業委員会サポートシステムの更新や農業者年金の加入推進にも力を入れていきたい」と話していた。