中山間で最適化活動に奮闘 岩手・住田町農業委員会
住田町農業委員会(松田秀樹会長、農業委員8人、農地利用最適化推進委員8人)は、将来の目標を描くにあたり課題が多い中山間地域にありながら、農地利用の最適化活動を積極的に推進。新規就農者への農地集積や地域計画の目標地図作成など、次世代に農地を橋渡しするため奮闘している。

住田町は県東南部に位置し、四方を山々に囲まれ、総面積の約90%を山林が占める。平坦地は少なく、集約的に米、野菜、畜産などの農業が行われている。
同町の2023年度の農地集積率は18.7%と低いが、ここ数年、集積目標を上回り実績を上げている。高齢化でリタイアする農家が多い中、10人近くの担い手が新規就農し、精力的に規模拡大しているためだ。
担い手の1人である佐藤道太さん(40)は、13年ほど前に就農。当初は野菜作だったが、7年前から稲作中心に切り替えた。徐々に集積を進め、現在は20㌶ほど耕作し経営を軌道に乗せている。佐藤さんの成功を見た水野正也さん(44)ら同世代の3人が次々と就農、規模拡大を進めている。その後も数人が就農し、担い手が増えている状況だ。
松田会長は「農業者の先輩として、地域の世話役として、委員は技術や農地の相談に乗っている」と語る。

同町では11地域の地域計画を策定予定で、そのうち4地域は昨年度策定済みだ。
目標地図の素案は、農業委員と推進委員、地域の自治会組織「農林業振興会」と協議し作成している。策定済みの4地域は、立地条件がよく将来の担い手もいることから、順調に計画づくりは進んだが、本年度作成する7地域は山間の農地が多く、担い手も高齢化しているなどの課題も多い。
そのうちの一つである小股・大股地域の振興会会長で推進委員の菊池充さん(74)は「現在の耕作者を計画上の『農業を担う者』に載せるだけで手いっぱい。将来の集落維持すら難しい」と厳しい現状を語り、今後も課題解決に向け話し合いなどを進めていこうと考えている。
同町では、将来像を描きにくい地域は現況図を目標地図として作成し、12月までには地域計画策定を完了する予定だ。松田会長は「地域に根差した農業委員会活動により地域の農地を残していくため、関係機関・団体と連携し計画を実現していきたい」と意欲を見せた。
