農地を活かし担い手を応援 遊休農地の解消に成果 沖縄県 南城市農業委員会

農地中間管理事業などで担い手へ

 沖縄県の南城市農業委員会(嘉数武会長)が遊休農地の解消に成果を上げている。農地地図情報の入ったGPS機能付きのタブレットを活用した農地利用状況調査、所有者への意向調査などを経て、戸別訪問で遊休農地の解消を働きかけ、農地中間管理事業などで担い手へ結びつける。必要があれば農地の再整備も実施している。

 南城市の農地面積は1360ヘクタール、農家戸数は1645戸。農産物の出荷量が県内でサヤインゲンとオクラが第1位、ピーマンとキュウリは第2位、レタスとゴーヤーも上位を占めるなど農業が盛んだ。
 同市農業委員会では、事務局や農業委員、農地調整員らが連携して遊休農地の解消に取り組む。まず8月から10月の間、委員会事務局が産業振興課職員とともに農地利用状況調査を実施する。農地地図情報の入ったGPS機能付きタブレットを活用して、現場で一筆ごとに作目の作付け状況を確認し、遊休地の状況を入力する。「タブレットは一目瞭然。場所が特定できて遊休地農地の把握に効果を挙げている」と宮城重徳事務局長。
 10月から12月には、農業振興地域内にある遊休農地の状況を、22人の農業委員が3〜5地区の担当地区ごとに調査する。この際、事務局が調査した農地情報地図をもとに現地確認をする。確認困難な場合は、事務局とともに再調査を行っている。農業振興地域外の遊休地は12月頃に同様の調査をする。
 そして12月以降、遊休地所有者に郵送で意向調査を実施する。毎年、250〜300戸に意向調査を実施しているが、回答数は3割程度。宮城事務局長は「不在地主なども多いために回収率は低いが、回答のあったものは、有力な情報になっている」という。
 同市では意向調査をもとに戸別訪問して遊休地の解消を働きかけている。対応するのは沖縄県農地中間管理機構から南部駐在員を委嘱された吉田恒雄さん、市から農地調整員を委嘱された新垣進さん。2人はJAや役場の元職員で地域の農家の信頼も厚い。
 2015年度の農地中間管理機構への貸し付け面積目標は10ヘクタールだが、すでに9ヘクタールを達成した。農地中間管理事業での取り扱いが難しい農地1.5ヘクタールは、農地法第3条で担い手に10年間貸し付けた。また、必要に応じて、耕作放棄地解消事業を活用して農地を再整備するとともに施設の導入もでき、借り手に感謝されている。
 今後、さらに遊休農地を解消していきたいと吉田さんと新垣さんは意欲を燃やす。

写真上=耕作放棄地解消事業の実施前の圃場

写真中=実施後の圃場

写真下=タブレットで遊休農地を確認。事務局の當山亜弥乃さん(前列左)、吉田駐在員(同右)、新垣農地調整員(後列左)、宮城事務局長(同右)