人と組織をサポート 農業目指す企業へ研修会 愛知県農業会議

 愛知県農業会議(川上万一郎会長)は、建設業者や食品関連業者などを対象に企業の農業参入に関する研修会を2010年度から毎年度開いている。2009年12月の農地法等の一部改正によって農業生産法人の要件緩和、一般企業の貸借による農業参入が措置されたことに対応し、一般企業を集めて農業参入に向けた説明会を開いたのが始まり。
 開催には愛知県や全肥商連愛知県部会、愛知県土木研究会などの協力を受け、毎回一般企業と農業委員会関係者ら100人前後が参加している。
 初回の2010年度の研修会では、一般企業の農業参入の要件、愛知県農林水産部の支援体制、行政書士による農業参入の手続きなどを説明した。
 2011年度からは実際に農業参入した企業による事例発表も行っている。これまでに豊田市稲武地区でブルーベリーの栽培・加工・販売に取り組む建設会社の(株)杉田組、武豊町の産業廃棄物処理業の(株)エイゼンの農業参入による資源循環アグリ事業の取り組み、設楽町の関谷醸造(株)の酒米栽培や商品開発など参入した現場の声を伝えている。
 今年1月の研修会では、静岡県で造園会社を営む(有)コスモグリーン庭好の伊藤拓馬取締役部長が、うなぎの残さ堆肥を利用して生産した「うなぎいも」のブランド化と産地づくりを実現した参入事例を講演した。
 愛知県では、2009年の農地法改正前の一般企業の参入は13法人だった。しかし、2014年8月現在では79法人、改正前の5倍となり、大きく伸びている。受け入れ地域では新たな担い手として農地の有効利用や地域の活性化に貢献している。
 参入企業には、安全・安心な原材料や食材の確保、施設設備や労働力などの有効活用、新たなビジネスチャンスの確保などのメリットがあるため、農業参入に関心の高い企業が多い。今後もこうした支援活動を継続していく予定だ。

写真上=2015年度の研修会風景

写真下=2015年度の事例発表者・コスモグリーン庭好の伊藤取締役部長