農地を活かし担い手を応援する 第2部 農地利用の最適化(41) 地域の声を行政につなぐ

宮城・登米市農委会

 毎年、市長への建議を実施している宮城県登米市農業委員会(秋山耕会長)。地域農業者との意見交換会で出された意見をしっかりと盛り込んだ建議書を委員自ら作成して、建議に臨んでいる。
 建議内容の検討から意見交換会の準備・運営、建議書の作成、建議の実施まで一貫して取り組むのは「農業改革会議」の委員8人だ。同委員会は農政部会と農業振興部会の下に「遊休農地対策会議」「農業委員だより編集会議」など1業務を少数の委員で集中的に行う六つの専門会議を設置する。建議活動を担うのが農業改革会議だ。
 「少人数制なので活動がしやすいし、一人一人にやる気と責任感が生まれます」と同会議の高橋清範委員長(61)は話す。
 同会議は12月の市長への建議に向けて、春から月1回程度の打ち合わせを重ねて活動を進めていく。
 同市の農業の課題を踏まえ、委員らで建議内容を検討。今年度は決定した4項目のうち、若い担い手の育成と地元産品の販売強化の2項目について、地域農業者からも意見を聞くことにした。
 意見交換会の参加者は、若手認定農業者を中心に委員が地区ごとに選ぶほか、JAや青年・女性農業者組織からも推薦してもらう。今年度は30〜70代まで12人の男女の農業者がそろい、昨年9月7日に実施した。
 「担い手を増やすには農業所得を上げることが不可欠。それには複合経営や法人化の推進、特産品のブランド化が必要だ」との声が多く出たことを受けて、建議書にしっかりと書き込み、市長に訴えた。
 同委員会の建議活動は、一方的に意見を出すだけでは終わらせない。市部局からの回答書の内容まで議論して、自分たちの意見がどのように施策に反映され、どう改善されたかなど、市部局とも意見交換会を開き確認する。
 「一方的に意見を言うだけでは効果が出ない。せっかく建議をするのなら、現場にも行政にもメリットがあるように進めないと」と高橋委員長。
 「地域の声を聞くのが農業委員の仕事。4月から制度が変わっても、今後もしっかりと意見の提出や要請を続けていきます」と高橋委員長は力強く断言する。

写真説明=12人の地域農業者と関係者で意見交換会を開き、建議内容を検討する