農地を活かし担い手を応援 現在も懸命の復旧工事 茨城県 常総市農業委員会

関東・東北豪雨 被災した農地の再生に全力

 昨年9月の関東・東北豪雨により、茨城県西部を中心に甚大な被害が発生した。9月10日朝、常総市を流れる鬼怒川が増水し、若宮戸地区で越水した後、続いて三坂地区でも堤防が決壊した。さらに八間堀川でも五箇・大生地区で堤防が決壊し、住宅や農地をのみこんで、収穫前の水稲や収穫後の米、農業機械などが浸水した。現在も懸命の復旧工事が続いている。

 発生から3日ほどは通信網や交通網などが使えない状態が続いたが、常総市農業委員会では、倉持創一会長と杉山久夫事務局長が、なんとか全農業委員宅を訪ね、被害状況を聞き取った。農業委員26人中13人が刈り取った米や農業機械などの被害に遭った。
 被災した農家や農業委員から、収穫後の米が被害に遭っても農業共済の補償対象にならないことから、救済を求める声が寄せられた。 
 農業委員会では、このことを地元選出の国会議員などに要望した結果、収穫後の米も適用されることになった。
 農業委員の山野井喜仁さんは自身も被災したが、ボランティア活動に積極的に取り組んでいる。市の農地ゴミ撤去プロジェクトの一環として、11月28日には山野井さんが中心となり、地元住民や水海道一高の学生、神奈川県伊勢原市のボランティアなど県内外から多くの人たちの協力を受けて農地のゴミの撤去作業を行った。
 また、県内外の農業委員の方々からの見舞金が農業委員会に届けられた。「ボランティアの方々の協力や見舞金を頂いた方々に対して、感謝します。本当にありがたいことです」と倉持会長。
 倉持会長は現在農業委員として10期目だが、「9月は農業委員会の現地調査などが行えず、総会も中止になった。農業委員として初めてのこと」という。だが、「これまで、鬼怒川や小貝川が決壊することは何度かあった。そのたびに農家は打ちのめされてきたが、百姓根性で、はい上がってきた。これからも前向きに復旧・復興に向けて取り組みます」と力強く語る。
 農業委員会では、耕作放棄地解消の一環で、委員自ら耕作放棄地で青パパイヤの栽培を行っている。「今年度で2年目。今後も取り組みます」と倉持会長。災害に負けじと委員会活動に取り組む。
 現在、常総市三坂地区、石下南地区など76ヘクタールを超える農地災害復旧工事が急ピッチで行われている。

写真(上)=倉持会長(右)と杉山事務局長

写真(中)=昨年11月28日に行ったゴミ撤去作業

写真(下)=農地復旧工事。全国で3台しかないトロンメルスクリーン(土砂分別機)での作業