農地を活かし担い手を応援する 第2部 農地利用の最適化(42) 起点は意向把握にあり

 改正農業委員会法が4月1日に施行される。農地中間管理機構と連携し、農業委員と農地利用最適化推進委員、農業委員会事務局が一体となって、「農地利用の最適化」の推進に全力を挙げることが、農業委員会の最大の使命になる。具体的には「担い手への農地集積・集約化」「耕作放棄地の発生防止・解消」「新規参入の促進」の三つだ。その実践事例を本連載でも報告してきた。
 三つの取り組みの起点として重要な役割を果たすのが、農家や農地の利用などの意向把握だ。
 経営規模の拡大や縮小などの意向をつかむことで農地の出し手と受け手のマッチングが可能になる。さらに農地利用最適化の三つの取り組みだけでなく、▽人・農地プラン▽農地中間管理事業▽農業委員の農家相談活動▽関係行政機関等への意見の提出――など農業委員会の基本的活動に連動し、多くの派生効果を生む。活動の効率的、効果的な実施にもつながる。
 農業委員会組織では法改正を踏まえ、この4月から新たな組織運動「新・農地を活かし担い手を応援する全国運動」を展開する。その柱の一つが農地台帳補足調査の実施だ。農地をマッチングするため、経営規模の拡大・縮小や農地一筆ごとの貸し付け意向など、管内農家の経営意向を把握するものだ。
 それを実際に行う群馬県前橋市農業委員会は意向把握を起点に、▽「貸し付け希望」「借り入れ希望」など意向別に台帳を作成し、担い手にマッチング▽その農地情報を地図上に表示し、地区別検討会で担い手に借り受けを促し、JA支所にも配置▽ホームページでも情報提供する。
 また、農地利用状況調査をもとに、▽担い手に借り受けを促す地区別の検討会の開催▽遊休農地に「農地貸出票」の設置――など遊休農地の貸借を積極的に進めている。
 農地台帳の公表項目をインターネットで公表する農地情報公開システム(全国農地ナビ)では、本人同意のもと、農家の意向情報を管理できるシステムが盛り込まれている。貸し出し意向の農地情報をネット上でも公開できる。
 農家の意向把握――。活動のカギだ。

おわり