農地を活かし担い手を応援 県内最多の新規就農者 岐阜県 高山市農業委員会

 岐阜県高山市は農畜産業が盛んで、県内で最も新規就農者が多い地域だ。農業委員会としても再生した遊休農地のあっせんを行うなど、新規就農者の受け入れ態勢を整え、支援活動を行っている。

 高山市は岐阜県北部に位置し、高冷地の冷涼な気象条件を利用したトマトやホウレンソウなどの園芸作物の栽培、飛騨牛の生産など農畜産業が盛んな地域だ。
 高山市農業委員会(本林正樹会長)は、JAや県・地元農業者などの関係者と一体となって新規就農者への支援活動を行う。同市では、比較的農業後継者が就農するケースが多く、新規参入者と比較すると7対3の割合。近年は移住就農者が増加傾向にあり、これまでに12人が就農した。
 こうした移住による新規就農者の確保・育成を促進するため、2009年には「高山市就農移住支援ネットワーク会議」を設立。就農に関する相談に応じるほか、就農計画のアドバイス、農地の確保、就農後のサポートなど、親身な対応と継続的で効果的なサポート体制を整えている。
 また、農業技術を学ぶための長期研修制度を設け、同市から研修認定を受けた後、指導農業士をはじめベテラン農家の元で研修を実施。研修生となれば、さまざまな補助金の対象者になることができ、非常に好評を得ている。
 農業委員会も同会議の構成員となり、支援を行っている。就農者の当初の相談の段階から、指導農家と農業委員が一体となって相談活動を実施。農地の情報収集を行い、優先的に農地を配分できるよう支援を行っている。
 農地の確保では、必要があれば同市独自の「耕作放棄地再生利用事業」を活用し、再生農地の紹介も行う。同市では、就農希望者が多いため、農地の確保が難しい状況にある一方で、遊休農地の増加も深刻な問題だ。こうした農地を再生し、農業参入を希望する企業や新規就農者に借り受けてもらうことで、遊休農地を減らす取り組みにも積極的に取り組んでいる。
 2008年度から5カ年で約17ヘクタールの遊休農地を解消し、17経営体が借り受ける実績を上げた。解消には農業委員会が主体となり、農業委員らが協力して解消活動に取り組むなど、農業委員会の主要な業務の一つとして位置づけられている。
 農業委員会は、今後も研修生や新規就農者など同市の農業を将来担う農家を育成するため、指導農家と連携した支援活動を強化していく。将来的には指導農業士など、同市農家の代表となる立派な農家への成長が期待されている。

写真上=就農支援相談会を開催

写真下=耕作放棄地を再生するため、土地改良を実施