耕作放棄地を活用 ソバの産地づくりサポート 秋田・鹿角市農業委員会

 鹿角市では、ソバの産地づくりを目指し、耕作放棄地を再生利用したソバの栽培を進めている。市独自の「『そばの里』プロジェクト推進事業」などを活用しながら、年々栽培面積が増加。鹿角市農業委員会(兎澤悦雄会長)の農地利用最適化に向けた取り組みなどを背景に、2017年度は市全体で530ヘクタールまで拡大した。

 同農業委員会では、毎年9月に市全域の農地を対象に農地パトロールを実施している。昨年度は8月に農業委員13人、農地利用最適化推進委員15人の新体制に移行したことを踏まえ、農地パトロールは、事務局を加えた4人一組の10班体制で実施。事務局が事前に作成した耕作状況に応じて農地を色分けしてある地図を持参し取り組んでいる。
 ソバの栽培は、認定農業者や集落営農組織、農業法人がソバの地域特産化を目指す「『そばの里』プロジェクト」に取り組み数年経過していることもあり、耕作放棄地への作付けも年に10ヘクタール程度ずつ増加。本年度は、170ヘクタール程度作付けした法人もある。
 一方で、耕作放棄地解消の取り組みとともに重要視しているのが所有者の意識付け。中山間地の同市では、近年、ツキノワグマによる人身事故が相次いでいる。かつて畑地であったが、現在は山林となっている土地がいまだに多数存在しており、そうした農地について、所有者に農地であることを認識してもらうことと、適正に農地台帳に反映させることが重要になっている。
 兎澤会長は「ソバの作付けの拡大は順調だが、農政は米の生産調整見直しなど、大きな転換期にあるのは確か。その一方で山間部では深刻な獣害も発生している。今後は農地中間管理事業の活用や推進委員と連携しながら耕作放棄地の解消、人里と山間のゾーニングに向け努力していきたい」と語る。

写真上=耕作放棄地に作付けされたソバ

写真中=農地パトロールの際に活用した図面を説明する鹿角市農業委員会事務局職員

写真下=兎澤会長