農地集積66%めざして農委会が利用実態調査 茨城県の取り組み

 茨城県では、認定農業者などの担い手が農地を効率的に活用できるよう、2023年度までの農地集積割合を66%と目標を設定。県、農地中間管理機構(県農林振興公社)、県農業会議が示した方針に沿って、各農業委員会が県内全農地を対象に利用実態の調査を進めている。

全農地調査と農地の集積・集約は次のように進める。
 (1)農業委員・農地利用最適化推進委員の戸別訪問と調査票による県内全農地一筆ごとの利用状況と今後の利用意向を把握。
 (2)担い手の耕作範囲や農地所有者の利用意向など調査結果を基に利用状況図を作成。
 (3)関係機関が連携して座談会を開催し、農地の集約化に向け地域の合意形成を図る。
 (4)集落座談会を欠席した地権者などには、農業委員・推進委員が戸別訪問するなど、農地利用に向けたマッチングを図る。

 県農業会議では、全農業委員会が一堂に会する「新・農地を活かし担い手を応援する運動推進大会」を毎年開催。2018年度は笠間市と茨城町が優良な取り組み事例として発表。さらなる活動の活発化を図っている。

 現在、各委員会ではモデル地区を設定するなど調査が進められている。本年度はさらに調査地区を拡大し、2021年度をめどに全筆について利用実態と利用意向の把握を目指す。
 また、今後は調査結果を基に市町村農政主管課と農業委員会、関係機関が連携し、農地利用状況図を基に担い手の話し合いを進め「人・農地プラン」の実質化を図り、出し手と受け手のマッチングを行うことで担い手への集積・集約化を推進していく。

 笠間市農業委員会は、担い手や地権者に対する説明会を重視しており、16のモデル地区で各4回程度、計57回の説明会を開き、その都度、対象者や内容を分けて丁寧に粘り強くメリットなどを伝え、農地の集積を図った。また、タブレットを導入したことで、地図の作成や調査結果の整理に要した事務量は10分の1に減らすことができた。

 茨城町は、地区ごとに状況に違いがあることから、茨城町農業委員会では、地元に詳しい委員や担い手などを構成員とした農地集積推進協議会を地区ごとに設置して推進した。また、モデル地区を設定することで、どこからどのように集積するかを明確化したことで、近隣地域への波及効果もあった。顔の見える関係を念頭に戸別訪問などの現場活動に力を入れ、意見を取りまとめて、集積を図った。

写真説明=(上)集積前の農地と(下)集積後の農地(茨城町)