担い手再編へ向け協議 両委員らが調査し地図作成 岐阜・安八町農業委員会

 安八町は、岐阜県の南部、濃尾平野の北西部に位置し、揖斐川と長良川の二つの河川に挟まれ、肥沃な土壌に恵まれている。農業は、水稲を中心に野菜や畜産、果樹などが営まれるなど、営農が盛んに行われている。同町農業委員会(渡邊明博会長)は、農業委員14人、農地利用最適化推進委員8人の合計22人で運営しており、昨年度、担い手がいない空白地の土地利用を協議するため、アンケート調査および地図への落とし込みを行い、今後の集積・集約化へ向け動き出した。

意向調査の回答率91% 所有者435戸対象、398戸から回答

 同町の東部に位置する森部地区は、水田約70ヘクタールがまとまって存在し、水稲を中心に経営が展開されている。一方で、法人や営農組織などの担い手がおらず、個人経営がほとんどであるため、集積・集約化が進んでいない地区であった。
 担い手不足の問題を抱えている中、中心的な耕作者がリタイアし所有者から農業委員会への駆け込み相談が増加。長年、個人間での口約束による貸借が多かったため、実態が把握されておらず、課題解決へ向け、地区の農業委員と推進委員を中心に対策に乗り出した。
 昨年12月には、耕作者と、貸し付け希望の有無について、現状を把握するアンケート調査を実施。
 地区の土地所有者435戸を対象に、約91%、398戸から回答を得ることができた。

担い手の掘り起こし進める

 アンケートの調査にあたっては、地区の農業委員と推進委員、農事改良組合長や関係機関らがアンケート項目などの検討を重ね、「現状の耕作状況」「貸し付けと耕作地の入れ替え意向」「農業経営の方針」の3項目に絞って実施。所有者へ手渡しして回ったことで、多くの回答を得ることができた。
 貸し付けの意向だけでなく、「耕作地を交換しても良いかどうか」の回答結果も地図に落とし込んだ。耕作者からは「地図に落とし込むことにより、耕作地をまとめやすくなり、集積・集約化も進んでいくのでは」との期待の声も寄せられている。
 現在、地区の農業委員、推進委員や農事改良組合長を中心に、地元の農業者を優先に、農地を借り受けてくれる担い手や一部作業を行ってくれる担い手の掘り起こしを進めている。
 同委員会では今後、地元の農業者に加え「集約化した農地なら借りたい」と考える担い手を集めた検討会の開催も予定している。地図を活用し、未来につながる森部地区の農地集積・集約化を進めていきたい考えだ。

写真説明=地図を見ながら協議。意見が活発に交わされた