担当地区の意向持ち寄り 毎月、両委員が情報共有 長野・上松町農業委員会

 「木曽路はすべて山の中にある」といわれるように、中央アルプスと御嶽山系に挟まれた木曽地域。長野県木曽郡上松町はそのほぼ中央に位置している。多くの中山間地域で問題となっている人手不足、農地の遊休・荒廃化、鳥獣害対策が同町でも課題となっている。

 上松町農業委員会(横井勝美会長)による農地利用状況調査では、各地区の現地確認を行う際、今後の農地利用の意向についての聴き取りも合わせて行った。担い手の少ない上松町では、それぞれの地区に合った遊休農地の解消方法を検討していく必要があるからだ。また、地域のいろいろな会合の中で情報を得て、農業委員9人と、農地利用最適化推進委員3人がそれぞれの担当地区の農業者の意向などの状況を持ち寄り、毎月の農業委員会で情報共有をしている。
 そうした課題検討の中から手始めとして、遊休農地の再生利用に取り組んだ。集団的な農地の中にある遊休農地の利用という観点から、獣害に強いエゴマを栽培した。これにより遊休農地が解消したばかりでなく、獣道が断絶されたことにより周辺農地への被害が減少したことから、好評を得ているという。

 同町の「人・農地プラン」の担い手は、上松町特産品開発センター利用組合と上松町機械化営農組合の2組織しかいない。
 担い手の一翼である上松町特産品開発センター利用組合の組合長は、農業委員の大橋けい子さん。組合員数58人、作業従事者23人で切り盛りしている。料理コンクールでの入賞を機に、農産物加工への取り組みに拍車がかかった。農産物加工品の地産地消を基本とし、加工の材料は町内産にこだわり、消費・販売も町内を主体としている。
 もう一つの担い手、上松町機械化営農組合(農業委員でもある上小路達男組合長)は、高齢化した農業者の農業機械作業の請負も担い、加工品の原材料となる伝統野菜の吉野カブ、芦島カブ、エゴマなどの栽培を町内の農業者と合計で5.5ヘクタールの遊休荒廃農地を解消している。
 
写真=上松町特産品開発センター利用組合組合長の大橋さん(右から2人目)とみなさん