地域の課題、発見・解消 埼玉・熊谷市農業委員会

熊谷市は、麦王と呼ばれた権田愛三の指導の下、麦作が盛んな地域で米麦二毛作の一大産地を形成するとともに、利根川沿いではブロッコリー、大和芋、ネギなどといったさまざまな野菜が生産される県内でも有数な農業が盛んな地域となっている。
そのような農業が盛んな地域であっても、他市同様、後継者不足や農家の高齢化などによる荒廃農地の増加に頭を悩ませている。
熊谷市農業委員会では、その解決に向け、木村進会長を先頭に事務局職員も知恵を絞り、さまざまな取り組みを行っている。

同委員会では、昨年9月の新体制移行後、大字ごとに農業委員と農地利用最適化推進委員がペアになり、農地パトロールや荒廃農地所有者への指導といった農家への戸別訪問を実施している。
これらの活動は、独自の様式による活動記録簿を毎月提出してもらうことにより、それぞれの委員の活動時間、活動内容の把握にとどまらず地域の課題の発見にもつながっている。
中でも一番の課題は荒廃農地だという。同委員会では本年度、荒廃農地の解消と農地としての再生利用のためにJAくまがやが実施する除草事業「アグリサポート」と連携し、「農地利用最適化推進事業」を開始する。
この事業は、非農家が農地を相続したなどで管理ができないため荒廃が進む農地に対し、その後、担い手に貸し出すことを条件に、JAくまがやが除草作業を請け負うというもの。市は、所有者に対して1年間に限り除草費用の40%を補助金として交付する。荒廃農地を管理された農地に戻すことで担い手へ結びつけやすい農地にすることを目的としている。
また、除草だけでなく、農業委員・推進委員が借り受け希望者を探し出し、農地のあっせんにも努め、荒廃農地の解消から担い手の確保までを一貫して行うことを目指している。
木村会長は「農家に身近なJAが除草を行うことで、所有者も安心して依頼することができ、年々増加する荒廃農地の解消にも有効な手だてとなるだろう」と今後への思いを語る。

写真=農業委員と推進委員がペアとなった農地パトロール