後継者対策で連携 5農委会で協議会設立 北海道・富良野地方アグリパートナー協議会

243組ゴールイン

北海道のほぼ中央に位置する富良野市周辺の五つの農業委員会で構成する「富良野地方アグリパートナー協議会」では、農業後継者の結婚相談や出会いの場づくりに取り組んでいる。農業経営を次世代へ引き継ぎ、地域農業を守るための活動により、これまで243組がゴールインした。

協議会は富良野地方1市3町1村(富良野市、上富良野町、中富良野町、南富良野町、占冠村)の農業委員会で構成される。1973年(昭和48)に設立された。当時、農村花嫁不足が共通の課題であったことに加え、出会いの場に多くの男女を集めるために連携して取り組んできた。
設立時から続く農業後継者と女性の交流会の開催に加え、1975年(昭和50)頃は富山県の紡績工場との交流や雑誌「週刊女性」への男性の写真掲載によるお嫁さん募集も行ってきた。
1981年(昭和56)からは交流会の名称を変え、冬はスキーフェスティバル、夏はサマーフェスティバルとして開催。2018年(平成30)までの間、48回で1400人を超える男女が参加した。現在は夏と秋の年2回、札幌・旭川のフリーペーパーと北海道新聞、道のホームページを活用して参加者を募り、道内外から年間十数人の女性が参加している。
5年前からは新たな取り組みとして、参加男性を対象とした事前研修会を始めた。交流会に何度か参加しているものの、会話が弾まない男性が多いためだ。
札幌の女性に協力してもらい、模擬交流会を実施してアンケートを書いてもらった。そこには「もう少し服装や身だしなみに気を遣ってほしい」「畑の広さが何十町とかピンとこない」「会話が続かず、結婚を本当に考えているのかよくわからない」という声があった。そのため、女性講師を招いて、身だしなみやマナー、女性とのコミュニケーションの取り方などの研修を実施。結果、身だしなみも改善され、積極的に自己アピールする男性も出てくるなど出会いの場を活かせるようになった。
交流会の世話役で、同協議会事務局を務める富良野市農業委員会の井口聡事務局長は「男性には1回だけではなく、何回も積極的に参加し、ぜひ自分に合う人を見つけて欲しい。本当は1回で相手が見つかってほしいけれど」と語る。男女の出会いを自治体が応援することに不快感を示す人もいるが、「安心感があり、ぜひ参加したいとの声もある。そのような方を大事にこれからも続けていきたい」と話した。

写真=女性講師から事前研修を受ける参加男性