インターンシップで新規就農支援 技術高い農家とマッチング 栃木・小山市農業委員会

小山市農業委員会(山中哲会長)は昨年から、新規就農インターンシップ支援事業を開始した。希望者に、農業委員・農地利用最適化推進委員をはじめ農業士や認定農業者などの生産技術を持った農家とのマッチングを行っている。また、農地パトロールにタブレット端末を導入するなど、委員会活動の強化にも取り組んでいる。

小山市では2016年の農業委員会等に関する法律の改正を受け、2018年3月31日に小山市農業公社を解散、農地集積事業を農業委員会が一元的に行うこととなった。これに先がけ、同委員会では2017年4月から農地集積業務を開始した。従来の農地利用集積円滑化事業に代わり、農地中間管理事業の活用を進めることによって、2017年度463ヘクタール、2018年度338ヘクタールを農地中間管理機構に集積した。2014年度からの累計では1169ヘクタールとなっている。
こうした中で開始されたのが、新規就農インターンシップ支援事業と農地パトロールへのタブレット端末の導入だ。
インターンシップ事業は就農を希望する人に体験農業をしてもらうことで、農業・農村への理解を深めてもらうとともに、小山市での就農と定住につなげていくことを目的としている。昨年度は2人の募集があり、本年度もすでに2人が申し込みをしている。
申込者には面接やオリエンテーションを通して、人柄や意欲などを確認。マッチング後は、1〜4週間の滞在の中で、農作業や農村の生活を体験してもらう。昨年インターンシップ事業に申し込みをした岩田清一郎さん(52)は「現在は会社勤めをしているが、アーリーリタイアして新規就農することを検討している。プロの人は作業が迅速で段取りも良いので驚いた。自分でやってみるとかなり難しく、技術が必要だと感じられた」と農作業への理解を深めた。
従来の農地パトロールでは、地図を持って実施していたが効率が悪く、精度が高くないのが課題だった。タブレット端末の導入により、現在地や航空写真などを表示できることから、境界がわかりやすくなり精度の向上につながった。また、分類などの入力や写真撮影が可能となったことで作業効率も向上した。
山中会長は「新体制になって2年が経過しようとする中、担い手不足、遊休農地発生などの課題は多い。これからも農業委員、推進委員が協力しあい、関係機関の情報共有や支援により、農業委員会が行うべき策を模索していきたい」と今後の活動について話している。

写真=タブレットを活用した農地パトロール