対象地区の全農地を集積 話し合いで法人設立 宮城 柴田町農業委員会

柴田町農業委員会(岩間良隆会長)は、農業委員9人と農地利用最適化推進委員9人の18人体制。人・農地プランの数や圃場整備地区数を考慮し、9活動区域に農業委員と推進委員をそれぞれ配置している。人・農地プランの話し合いも、両委員が役割分担して現地活動を行う。
町西部の葉坂地区は水田面積約50ヘクタールで兼業農家が多い地域。担い手が高齢化する中、人・農地プランの話し合いでは以前から圃場整備の要望が強かった。
2017年8月に町から地元負担のない圃場整備事業の話があり、地区の意向調査では全農家が賛成だった。地区の生産組合長、推進委員が同席し、数回の地区検討会をした結果、38ヘクタールでの実施が合意された。
事業採択には担い手への農地の集約、全対象農地に農地中間管理権を設定するなどの条件があった。全地権者から同意を得て、担い手に集積することが喫緊の課題となった。
地区内では、担い手20人が出資し、同年12月に「(農)葉坂希望の郷」を設立。これを契機に地区の生産組合長と推進委員が先導役となり、地区の話し合いの場で、地域ぐるみの水田営農の実現や、女性を中心とした園芸の導入と産直市の開設などの構想を提示した。担い手や地権者を入れた座談会を何度も行った結果、合意が得られ、地区契約会で全員が貸借契約を締結した。
地区全域の農地集積の取り組みが認められ、2018年4月に県内初の「農地中間管理機構関連農地整備事業」が採択され着工。工事は2024年3月に完工の見込み。
地区の話し合いを先導した青柳秀一推進委員は「100%の合意を形成するまでは、町外居住者や相続未登記の地権者に何度も説得に当たるなど厳しい局面もあった。圃場整備と法人化、女性たちが野菜生産の取り組みをすることで、将来、若者が参入できる農業・農村を実現したい。遊休農地や鳥獣被害の解消にもつなげたい」と語る。地区では、ライスセンターや地区が手作りで開設していた産直施設の改修の話も持ち上がっており、地区農業の発展が期待されている。

写真上=農業委員と推進委員が一堂に顔合わせ

写真下=農地整備事業対象水田を示す青柳推進委員