2人の女性推進委員誕生 農業者の声で農委会再設置 岡山 早島町農業委員会

早島町農業委員会(澤田晃始会長)は、2008年5月に行財政改革の一環でいったん廃止されたが、農地法の審査過程の透明性などを求める地域の農業者の声があったことから、2012年に再設置された経緯がある。2018年8月の新体制移行に伴い、同町初の女性農地利用最適化推進委員2人が誕生している。
同委員会は昨年8月、県内では最後に改正農業委員会法に基づく新体制(農業委員10人、推進委員2人)へと移行した。
これまで女性委員は不在だったが、昨年5月、県の女性農業委員組織・おかやま女性農業委員会(会員51人)などから女性委員登用の要請を受けたことから、地域の農業者が話し合って推薦し、2人の女性推進委員が誕生した。
活動を始めた2人は「先輩農業委員の指導のもと、農地利用の課題解決に取り組んで、地域農業に貢献したい」と初めての仕事にもかかわらず、意気込みは十分で、毎月の総会にも参加している。
同町では、担い手不足による遊休農地の増加が課題となっており、女性委員には地域農業者の相談相手として農地の利用調整を進める役割が求められる。
澤田会長は「本委員会初の女性委員の誕生ということもあり、活躍を楽しみにしている。女性ならではの視点・アイデアを存分に発揮して、積極的に活動してほしい」と期待を寄せている。
同町は2008年11月に農振法による農用地区域の線引きを行ったが、大規模物流施設の進出もあって、農業委員会がない4年間で農地面積は17%減少した。町の面積(762ヘクタール)に占める農地面積が176ヘクタール、うち干拓地面積が推計で163ヘクタール。戦国時代から続けられた干拓地で、1ヘクタールの大区画もあるが、その中を多くの地権者が細かく区割りして耕作しているのが現状。町の一部には丘陵地の狭小な農地もある。
担い手の作業の効率化のため、農地の集約化や用水路整備を行うためには、さまざまな課題解決や調整が必要であり、農業委員会への期待は大きい。
同町は岡山市、倉敷市などの大都市圏に挟まれアクセスがよいことから農地転用なども含め都市化を望む声がある一方、農振地区を設定することで「農地を守る」取り組みも進めている。
また、古くは多くの農地で「い草」が栽培され、室町時代後期の古い文献に早島から京都の寺に畳50枚が納められたとの記載もある。生活様式の変化に伴って2000年に栽培農家は無くなってしまったが、「い草の町」として毎年7月第1週の土日に「花ござ祭り」が開かれるなど、農業が根付いた町となっている。

写真=澤田会長を挟んで右が水畑子(みずはた・のりこ)推進委員、左が斉藤啓子(さいとう・けいこ)推進委員