集積・集約化と新規参入促進に力 佐賀・白石町農業委員会

白石町農業委員会(川会長)は、2017年7月の新体制移行時に遊休農地率1%以下、担い手への農地集積率70%以上であったため、農地利用最適化推進委員は置かず、農業委員37人で活動。関係機関と連携しながら担い手への農地利用の集積・集約化や新規参入の促進に取り組んでいる。

県南西部に位置する白石町。町内全域に広がる広大な白石平野は、自然陸化や有明海の干拓事業によって造成され、稲作をはじめ野菜、施設園芸などの農業にとって最適な地域となっている。また、2017年度末時点の農地集積率は96.2%と、県平均の69.4%を大きく上回っていた。
しかし、同町でも農業者の高齢化や後継者の減少は例外ではなく、今後の遊休農地の発生が懸念され、さらなる農地利用の最適化が課題である。
担い手への集積・集約化については、あっせんによる農地の貸借、売買を推進。離農・規模縮小希望者と拡大希望者への農地の利用調整に向け、農業委員が地道に農業者の声を拾い、日常の相談活動に力を入れている。利用集積にあたっては、農地中間管理機構や農地利用集積円滑化団体であるJAと連携。2018年度は、集落営農法人の設立も相まって、機構を通して462.5ヘクタールが集積され、県内でも過去最多の実績となっている。
この結果、2018年度末時点の農地集積率は、県内最高の97.2%となり、当初掲げた集積目標も達成することができた(県全体の実績は71.3%)。
農地利用率は170%を超えており、遊休農地の発生防止・解消にもぬかりはない。農業委員を5班に編成し、表作の作付けと裏作の作付けの時期である7月と2月の年2回、利用状況調査を実施している。遊休農地化が懸念される農地については所有者などに利用促進を働きかけ、営農再開や保全管理をしてもらい、遊休農地率1%以下を維持している。

担い手の確保にあたっては、同町の農業振興課と連携しながら新規参入を促進。町外から新規就農者を募集する「しろいし農業塾」を開いている。JAなどの関係団体とも連携し、研修などに必要な経費の助成や指導を行い、町全体で将来の担い手育成に力を注いでいる。また、農地の権利取得における下限面積を、白石町認定新規就農者の認定を受けている者に限り10アールと設定するなど、新規就農者の農地取得を容易にしている。
川会長は、「農地を守り、担い手を確保するという使命を果たすため、日々の相談活動を充実し、地域からより一層信頼される農業委員会活動を展開していきたい」と熱く語る。

写真=地図を活用し、利用集積について検討