農地を活かし担い手を応援する 耕作放棄地を市民農園に 岡山 玉野市農業委員会

農業にふれあえる場を提供

 岡山県玉野市は、中山間地域が多く、耕作放棄地の増加が課題になってきている。それを打開しようと、同市農業委員会の齋藤光暉(こうき)会長(74)が中心になって、耕作放棄地を再生し、3月末に市民農園を開設した。

 同市は岡山県の南部、瀬戸内海沿岸に位置する。農地は、児島湾の干拓地があるものの、多くは中山間地域にあり、海岸線から標高200メートルほどの山々に向けた傾斜地に水田、畑が広がっている。
 同市農業委員会は、農地を有効に活用するため、市内の全農地を航空写真や地図を活用しながら目視による巡回調査を細かく実施している。だが、高齢化や担い手不足で耕作放棄地が増加している。
 齋藤会長は、自ら率先して耕作放棄地を再生させたいという強い思いから、同市槌ヶ原(つちがはら)地内の耕作放棄地17アールを近隣の農家と再生に取り組んだ。
 対象となった農地は、かつて水稲を栽培していたが、所有者が高齢になり、管理する人もいなくなったことで7年以上耕作放棄され、樹木や雑草が生い茂っていた。まず、齋藤会長は、市民農園として利用が可能か検討した。関係機関に相談をし、日照条件など市民農園に適した場所かを調査し、協議を重ねた結果、活用できると判断した。
 農地の所有者からの了解も得られたことから、今年2月から近隣の農家3人と耕作放棄地の再生作業に乗り出した。草刈り機、耕運機なども使用して農地に復元した。
 3月30日、市民農園「荘内ひまわり農園」として、一般市民に貸し出しを始めた。非農家の方にも気軽に農業とふれあえる場を提供し、農村地域と都市地域との交流を深めていくことが目的だ。齋藤会長は、地元農家を中心に構成された「荘内ひまわり農園管理組合」の組合長も務める。
 「今後、農園の利用者が増えれば、近くにある耕作放棄地も整地して、子ども連れの家族から中高年まで幅広い世代の方々に利用していただけるような農園にしていきたい。この農園をきっかけに農業委員会でも利用できる農地を回復させたい」と齋藤会長は力強く語った。
 同農園では、利用者を募集している。問い合わせは、荘内ひまわり農園管理組合(事務局=みどりの館みやま、電話0863・32・0115)まで。

写真上=(上)市民農園の前に立つ齋藤会長、(下)耕作放棄地の再生作業

写真中=市民農園の開園式

写真下=利用が始まった市民農園