集積・集約にまい進 最適化へ委員ら声、中間管理事業活用 群馬・館林市農業委員会

谷田川北部土地改良区内の水田で作業途中の橋本さん          

 館林市は群馬県南東部に位置し、栃木県、埼玉県と近接する平坦な水田地帯で、キュウリの生産は全国トップレベルを誇り、近年、夏の猛暑でも全国的に有名になった。「農地利用の最適化」を進めるなかで、同市農業委員会(福田榮次会長)は、2018年から農業委員、農地利用最適化推進委員が各担当地域で農地中間管理事業を活用した農地の集積・集約の取り組みを展開している。


 同委員会は、2017年8月に新制度での体制でスタートを切った。農地利用の最適化の一環として、2018年度に委員が声を上げ、自らが関係している農地を農地中間管理事業へ移行する取り組みを展開している。
 2018年度末現在で、耕地面積2330ヘクタールに対して、担い手等への農地の集積面積は1447.1ヘクタールで集積率は62.1%。集積面積のうち2019年6月現在で151.4ヘクタールが農地中間管理事業を活用したものとなっている。2017年度までの同事業による貸借は約35ヘクタールで、その後約116ヘクタールを積み上げた。
まず、農業委員・推進委員自らが利用権の終期を迎えた農地を中心に農地中間管理事業に切り替えた。米麦・野菜を生産する日向農事組合法人の代表も務める福田会長は、経営面積の9.4ヘクタールのうち8.6ヘクタールを農地中間管理事業へ切り替えた。また、推進委員の橋本好正さんは自らが理事兼事務局長を務める谷田川北部土地改良区(組合員125人)で、区域内農地52ヘクタールのうち約39ヘクタールの水田を農地中間管理事業に結びつけた。
今年2月に市と同委員会が「郷谷地区の農地利用に係る座談会」を開き、地区内で3ヘクタール以上の農地を耕作する農業者24人と関係機関が集まった。これを契機に、地域の推進委員2人と地元の農業委員1人がコーディネーター役を務めながら、将来の担い手と農地利用についての話し合いが始まり、地域農業の在り方の検討を重ねている。
 福田会長は、「昨年、農業委員会で決定して、委員自らが農地中間管理事業を活用する取り組みを始めた。これを足がかりに、今後、地域へ広げ浸透を図る。農地中間管理機構が間に入ることで貸主・借り主が互いに安心感を得られることや、手続きが簡素になることなどを説明し、活用を求めていきたい」と話す。