中山間地域の農地集積などで成果 農地中間管理事業を活用 徳島・勝浦町農業委員会

農業委員会で、色分けした地図を見ながら話し合う           

 県内東部に位置する中山間地域の勝浦町は、古くからのミカン産地であるが、近年は農地の荒廃化が進んでいる状況にある。同町農業委員会では、利用意向調査による人・農地プランの作成、担い手への農地中間管理機構を通しての貸し付け、荒廃農地の非農地判断などに取り組み、成果が出始めている。


 勝浦町は、中山間地域にあり、山の斜面を利用したミカンの産地として有名である。しかし、担い手が減少し、ミカン畑が荒廃して山林化しているところが多くなりつつある。
 「中山間地域で新規就農者が農産物の売り上げをあげるのは難しい状況であり、なかなか若手が育成できないのが現状だ。そのため、少ない担い手にいかに農地をあっせんするかが鍵となる」と語るのは同委員会会長の小山善昭さん(69)。
 小山会長は農業委員6期目で、今期から会長を務めている。前期は農業者年金の加入推進部長を務め、2016年度には4人の加入者を獲得して全国表彰を受けた経験を持つ。
 そんな小山会長の指導の下、優良な農地については農地中間管理事業を通しての貸し付けを推進する一方、自然荒廃などで山林化している農地の非農地判断を進め、昨年度は約4ヘクタールを非農地化した。
 農業委員1期目の岡田智明さん(43)は中心的な担い手の一人だ。23歳の時に就農し、有機栽培で葉物野菜や枝豆などを5ヘクタール栽培する(株)トラストの代表取締役。従業員10人を雇用し、農地中間管理機構などを通じて2ヘクタール以上借り受けて事業を拡大している。新進気鋭の担い手だ。
 「農業委員になって農地制度や事業の流れがよく理解できた。現在は耕作放棄地も借り受け、2年かけて再生させています。本年度から水稲にも挑戦します」と意欲を語る。
 勝浦町では、人・農地プランの作成のため、利用意向調査を実施し、貸したいと希望した農地と農地中間管理機構への貸付登録農地を色分けした地図を作製した。担い手と共に地図上で確認し、さらなる農地利用あっせんの機会を創出した。
 こうした取り組みが中山間地域のモデルケースとなっていくことが期待されている。