協議会設置し農地を集約化 関係機関が連携して推進 愛知・西尾市 寺津中根新田地区

 矢作川の豊かな水と温暖な気候に恵まれ、「抹茶」の原料であるてん茶を始め、カーネーションなど施設園芸や稲作、梨、イチジクなど農業が盛んな西尾市では、農地利用の最適化を目指し、寺津地域の中根新田地区が、農地中間管理事業の関連農地整備事業を活用するため2018年7月に「寺津中根新田地区農地中間管理事業推進協議会」(加古彰会長)を立ち上げ、農地整備による農地の集約化を進めた。

地図をみながら集約状況を確認

 中根新田地区は江戸後期に三河湾を干拓した農地で面積は95ヘクタール(田75ヘクタール、畑20ヘクタール)。水利は用排水兼用で、海に近い平地のため塩害や水管理に悩まされていた。農地整備のきっかけは2017年にこの地域の担い手が「機構関連農地整備事業」の創設を知り、課題であった用水のパイプライン化と合わせて農地の集約化を進めたいと市に申し出たこと。JAや関係機関が連携し、地域の担い手4人が集約に向けた検討を始めた。
 まずは、農地所有者の代表である耕作委員に事業の趣旨などを説明して理解を得た。その後、関係者による協議会を設置して、本格的に事業に着手した。協議会では2018年9月に地権者約240人に対する事業の説明会を開催。地権者の負担なしに土地改良が行え、担い手の生産基盤が整うことを説明し、事業に参加するかどうかの意向調査をした。
 12月には地権者がこれまで円滑化事業で貸し付けていた農地も含めて、農地中間管理事業に申請する手続きの受付会を開いた。県外の地権者がいたり、説明を聞いてくれない地権者もいたが、協議会メンバーが何度も戸別訪問や電話をすることで理解を得たという。
 これにより水田の担い手への集積率は76%から95%となり、1経営体当たりの経営面積も14.3ヘクタールから23.8ヘクタール、1団地当たりの平均面積も0.4ヘクタールから2.2ヘクタールへと集約化・連坦化が進んだ。担い手農家で協議会委員の加古清貴さん(44)は「このような制度ができたことで、地域の方々が協力し、後世に作業効率の良い水田を残すことができた」と話す。
 中根新田耕作委員長や農地利用最適化推進委員も務める加古会長は「所有者の高齢化や世代交代が進んでいる。農地についての関心が薄くなってきている中で地域みんなが協力し、農地の集約と基盤整備ができたことは大変良いタイミングだった」と話している。